ALAN MERRILL
2000年6月になってようやくARROWSのアルバム‘First Hit’(1976)がCD化された
事は私にとってはかなりのビッグ・ニュースであった。まさに待望のアルバムだったからだ。
ARROWSの紹介はプロデューサー特集のミッキー・モストの項でしているが、今回はその
ARROWSのギタリストでヴォーカリストの‘アラン・メリル’のアルバムを紹介しよう。
『ニューヨークのため息』といわれた名ジャズ・シンガーのヘレン・メリルを母としてNYで生ま
れたアランは10代で来日、以後幾つかのバンドで活躍した後、73年に渡英してARROWS
を結成。78年に解散後はリック・デリンジャーやミート・ローフらと活動し、96年には再来日も
果たす。現在はパリに在住しており、新作を準備しているところという話だ。
もし、アラン・メリル及び以下のアルバムに興味がある方は‘HITOMIさんのホーム・ページ
からアルバムを購入できますので、是非、行って見てください。


 NEVER PET A BURNING DOG (1985) 〜 ALAN MERRILL

これはARROWS解散後に、アラン・メリルがソロとしてセッションを通して作り上げたソロ・アルバムで、
1977年から1982年までの間に録音されたものだ。1曲ずつだがバック・メンバーの中にはリック・
デリンジャーやミック・テイラーの名前も見られる。サウンドのほうは70年代のブリティッシュ・サウンドと
アメリカン・サウンドの良いところをミックスした感じで、とってもタイトなサウンド作りがされていて、一発
で気に入ってしまった。リック・デリンジャー参加の‘Love Express’でアルバムは幕を開けるのだが、
アップ・テンポなリズムに乗って、タイトなギター・サウンドが響く。アランのちょっとハスキーがかった
Vo.も中々良い。全曲を通して言えることだが、バック・コーラスが厚いサウンドと化していて70年代
から80年代に移り行くロック・サウンドの特徴が良く表れている。ARROWSの頃はプロデューサー、
ミッキー・モストにアイドル的サウンドを強要され、自分の目指すサウンド作りが全然出来なかったらしい
が、ここでは充分にガッツ溢れるサウンドを具現化出来ていると言えよう。ハードな曲から甘いバラード
までどれもが本当のアラン・メリルに出会えた感じがする。
70年代のリック・デリンジャーやバッド・カンパニー、チープ・トリックなどのように、なんの仕掛けもない
ストレート一本やりのロック・サウンドが好きな人だったら、断然気に入ると思いますよ。
ジャケットの感じもグーです。


 BOY'S LIFE (1998) 〜 VODKA COLLINS

こちらはウォッカ・コリンズの1998年度バージョンです。このバンドについては今回初めて知った
のですが、73年にアランが渡英する前に日本で結成していたバンドとのこと。こんな凄いバンドが
日本で活躍していたとは全然知りませんでした。70年代初めに‘Tokyo- New York'というアルバム
を発表しており、これは現在日本で入手出来るらしい。
で、このアルバムの話に戻ると、録音は80年代後半からのものもあるが、まさしくそこには70年代の
音が息づいている。音とはつまり、ソウルとガッツが入りこんだ‘Sound’のことを言っているのだ。
70年代には幾分グラムチックなサウンドだったらしいが、ここでは徹底的にR&RとR&Bに終始して
いて、‘ムッシュ・カマヤツ’が前半の5曲に参加しており、好きモノ振りを遺憾無く発揮している。
Bitches For Breakfast'‘Miss Prettyface'‘Possession Obsession'‘See You Comin'
Instant Gratification'などのロックン・ロール・ナンバーを聴くと、70年代初めにストーンズの
Jumpin' Jack Flash’や‘Honky Tonk Women’を聴いて思わず鳥肌が立ったのと同じような
感動が蘇える。そこには、テクニックや何のサウンド効果も必要としない、ただ俺達はロックン・ロールが
好きなんだというメッセージがあり、ほとばしる熱気がビンビンと伝わってくる。
もちろんその他のナンバーもソウルフルなバラードやファンキーなリズムにのった曲など、どれもが
思う存分に自分達の好きな音楽が演れる喜びみたいなものが伝わってきて楽しめる。
アラン・メリルのヴォーカル及びギターが全て素晴らしい出来で、この人は良い年のとり方をしている
な、と感じさせるアルバムだ。今後が楽しみなロック・アーティストの一人だ。



(2000/12/11)

Alan Merrill Live