THE BABYS (ザ・ベイビーズ)

ベイビーズはギタリストのマイケル・コルビーとヴォーカル&ベーシストのジョン・ウェイトを中心
として1974年に結成された。彼らに災いしたのはそのバンドのネーミングと甘いルックスであっ
たと思う。おりしも75年あたりから始まったローラーズ(ベイ・シティ・ローラーズ)旋風は76年の
‘Saturday Night’の全米No.1ヒットによって日本でも吹き荒れ、77年には各音楽雑誌で早く
も‘ポスト・ローラーズ’なるバンドを捜し初めていたのだ。そこに運悪くベービーズはデビュー
して、某ML誌などでフリント・ロック、バスター、ハローなどの甘いルックスでいかにもティーン・
エイジャー向けのバンドらと一緒に紹介されてしまった事が、このバンドの不幸のはじまりであ
った。上記のバンド達はすぐに消えてしまったが、ベイビースは5枚のアルバムを残し、又、そ
のメンバー達はまたそれぞれにソロで活躍したり、違うバンドで活躍したりしたのです。
実力がありながら、世間的には殆ど正当な評価がされなかったバンド、ベイビーズ。78年と79
年には来日もしているが、これも殆ど話題に上らなかったと記憶している。
メンバーは他にウォーリー・ストッカー(ギター)、トニー・ブロック(ドラムス)、ジョナサン・ケイン
(キーボード〜79年より加入)、リッキー・フィリップス(ベース〜79年より加入)。尚、コルビーは
78年に脱退している。
そんな彼らが残した5枚のアルバムを紹介しましょう。



THE BABAYS
(1977)
愛らしいイメージのバンド名、そしてそのメンバーのルックスとは裏腹なかなりヘ
ヴィなサウンドに、聴いた人は最初戸惑ったんではないであろうか。曲によって
はツェッペリンのようなタイプのものもあるが、基本的には甘いメロディに乗った
ハードなサウンドが得意であるようだ。このファースト・アルバムは当時ラジオで
も数曲流れたりしていたのだが、今一、ピンとこなかった記憶がある。今聴いて
も好きな曲と嫌いな曲とがはっきり分かれるところで、気に入ったナンバーは
If You've Got The Time’‘Rodeo’‘Read My Stars’などの豪快なハード・ロッ
ク然とした曲で、バラード・タイプの‘Wild Man’‘Laura’‘I Love How You Love
Me’なども悪くない。いや、むしろこういった切ないバラードこそジョン・ウェイトの
ヴォーカルの魅力が発揮されるのかも知れない。それは84年のソロになってか
らの‘Missing You’の全米No.1ヒットによって証明されることとなる。プロデュー
サーはアリス・クーパーなどでもお馴染みのボブ・エズリンで、当時の邦題は
『恋のチャンス〜ベイビーズ誕生!』であった。
BROKEN HOME
(1977)
プロデューサーがロン・ネヴィソンへと変わり、先ずアルバム冒頭を飾る‘Wrong
Or Right’でのクラシックのCDでも聴いてるかのような錯覚に陥るイントロに驚か
され、ここからはレイ・ケネディ作の‘Isn't It Time’(愛の出発)が全米No.13と
なる。この曲を初めとしてストリングスやホーン・セクション、女性コーラスなどが
大胆な使われ方をされていて、前作と比べると華麗な変身を遂げた、と言える。
相変わらず‘The Gorden Mile’‘I'm Falling’‘A Piece Of The Action’などのバラ
ード・ナンバーの出来が良く、ここでも前作同様、トニー・ブロックが一曲だけリー
ド・ヴォーカルをとってる曲が含まれてます。
また、‘And If You Could See Me Fly’‘Rescue Me’などのヘヴィーなリフのギタ
ーが印象的な曲などもあり、多彩なタイプの曲が揃ったアルバム。
HEAD FIRST
(1978)
こちらも前作同様ネヴィソンによるプロデュースで、同じくレイ・ケネディ作の
Every Time I Think Of You’(ときめきの彼方へ)は女性コーラス、ストリングス
をフューチャーした華やかなナンバーである。このアルバム制作途中でジョン・ウ
ェイトと共にバンドの創設メンバーであったコルビーが脱退してしまい、残りのメ
ンバーはゲスト・ミュージシャンを迎えてどうにかアルバムを録音しを得たという
訳だ。その中にはヘヴィ・メタル・キッズのジョン・シンクレアらの名前も見える。
アルバム全体の印象は前作を踏襲しながらも、かなりアメリカン・マーケットを意
識したサウンド、メロディーが感じられ、ウェイト作の‘You’‘California’といった
今までには聴かれなかった良い意味で力の抜けた軽やかなアコースティック・ナ
ンバーが印象的だ。個人的にはこれぞブリティッシュ・ロック・バンドと言えるハー
ドでキャッチーなギター・リフが素晴らしいタイトル・ナンバー‘Head First’がベスト
・トラックでオススメ。
UNION JACKS
(1980)
このアルバムからプロデューサーがキース・オルセンへと変わり、サウンドもぐっ
とアメリカン・ロックしてる。新メンバーにキーボードのジョナサン・ケイン、ベース
のリッキー・フィリップスが加わり、今までの力強いギター・サウンドを前面に押し
出した音作りから、トータル的な音作りに変わった点が一番の聴きどころだ。ウ
ェイトも今までのベース兼ではなく、リード・ヴォーカルに専念できた為か伸び伸
びとした感じが伝わってくる。曲作りに新加入の2人も加わったことで益々多彩
な音楽性を打ち出すことに成功したと言えよう。どれも平均点以上の曲が揃う中
、タイトル曲の‘Union Jack’でのカラフルなコーラスやキーボードを前面に打ち出
したニュー・ベイビーズとも言えるサウンドは聴き応えがある。その他、来日時に
ホテルの周りで迷子になった事を歌ったケインがヴォーカルをとるブギー調の
Turn Around In Tokyo’なども良い。同じ時期にForeignerやJourneyなどといっ
たバンドが活躍した中、何故彼らがそれほどは受け入れられなかったのかが今
聴き返してみると不思議なくらいPOPなサウンドである。
ON THE EDGE
(1980)
一年と経たずに出された彼ら最後のアルバムで、プロデューサーは同じくキース
・オルセン。前作同様、ハーモニーを前面に出しながらも、少しハードな曲が揃っ
た。初期のギター・サウンドがちょっと戻ってきた感じもあり、とりわけウォーリー・
ストッカー作の‘Sweet 17’‘She's My Girl’における彼のハードなギター・ワーク
は必聴で、ロックン・ロールのエッセンスが詰まったリフ満載は実に痛快である。
その他、やはり軽快なハード・ロック・ナンバーが揃う中、The Whoを意識して作
ったという‘Rock'n Roll Is’やAC/DCを思わせるリフが印象的な‘Downtown’、前
作同様ジョナサン・ケインがリード・ヴォーカルをとった‘Love Won't Wait’など、
売れなかったのがこれまた不思議なアルバムである。
トリビュート・アルバムが流行りの中、彼らのものも出るのはそう遠くはないのか
も知れないと思うこの頃です。

The Babys #1