Badfinger(バッドフィンガー)


バッドフィンガーと言えば、みな同じように口を揃えて「Come And Get It」とか「No Matter What」「Day After
Day」などの曲や、それらの曲を含む初期のアルバムの素晴らしさを言うけれど、まぁ、私も決して嫌いじゃ
無いのだが、むしろこっちの方が断トツに心の琴線に触れるというアルバムがある。そのアルバムとは下に
紹介する2枚のアルバムだ。人によったらあれはバッドフィンガーのアルバムじゃないと言う人もいるのかも
知れないけれど、名義が「バッドフィンガー」ってなってるんだから、しょうがない。普通、初期のアルバムを
紹介するのが本筋なのかもしれないけど、私のB級魂を揺さぶるのは、こっちのほうだったということ。
怒られるかもしれないが、ピート・ハムだけがバッドフィンガーじゃないよと言いたい。これらのアルバムをま
だ聴いていないという方がいらっしゃったら、是非とも聴いていただきたい。


Airwaves

(1979)
このアルバムではピート・ハムもマイク・ギボンズもいない。トム・エヴァンスとジョーイ・モランドを中心に
新メンバーのジョー・タンシンを加えてハード・ポップなナンバーが揃ったアルバムだ。デビュー当時より
ビートルズの弟バンドと言われてきたが、「Look Out California」はさながらバッドフィンガー版‘Back In
The USSR’ふうご機嫌なR&Rだし、ジョー・タンシン作の「The Winner」はニュー・バッドフィンガーを強く
印象付けるパワー・ポップなナンバーでコーラスが素晴らしい。ジョーイ・モランドの素晴らしいバラード
The Dreamer」ではゲスト参加のニッキー・ホプキンスの美しいメロディにのったジョー・タンシンの渾身
のギター・ソロに聞惚れてしまう。「Sail Away」もまたニッキー・ホプキンスのピアノをフィーチャーしたバ
ラード・ナンバーで、トム・エヴァンスのしっとりとしたVo.が初期のバッドフィンガーを思い浮かばせる。
ハード・ナンバーとバラード・ナンバーを交互に上手く並べたこのアルバムは、時代はパンクからニュー・
ウェイヴへと移り変わっていく最中に発表されて殆ど話題にもならなかったが、今こうして聴くと非常に
素晴らしい出来のアルバムだと思う。CDではジョー・タンシンの作品を中心にAirwavesセッション時の
5曲の未発表曲が追加されていてお買い得なので、未聴の方には是非とも聴いて貰いたい。
Say No More

(1981)
これも前作同様、能天気なロックンロール・ナンバー「I Got You」で幕を開ける愛すべきアルバムだ。70
年代初めのバッドフィンガーしか知らない人が聴いたらかなりビックリするかも。いや、私がそうだった。
このアルバムではもちろんジョーイとトムの二人が中心となっているのだが、もう一人、元イエスのトニ
ー・ケイが正式メンバーとしてクレジットされている。2曲目の「Come On」や「Rock N' Rokk Contract
Passin Time」「No More」なんかは、これぞ元祖パワー・ポップのお手本的なナンバー。ギターを前面
に出したサウンドは小気味良く、どれもが明るい曲調なのが良い。フロリダで録音されたのだが、そこら
辺も関係しているのだろうか?トニー・ケイのピアノも上手くマッチしていて、「Hold On」「Three Time
Loser」で、ピカ一の指さばきを聴かせてくれる。メロディがなんともジャパネスクで、今で言うJ・ポップに
近いサウンドが親しみ易い。このアルバム、レコード会社の怠慢であまりプッシュされなかったらしく、
当時、私も全然耳にしたことがなかったアルバムなのだ。
いやぁ、このアルバムはパワー・ポップ系が好きな人には絶対お薦めのアルバムなのです。因みにプロ
デューサーはスターズ、ボブ・シーガー、アリス・クーパー、ポコなどのアメリカン・ロックの渋いところを
手がけたジャック・リチャードソンで、ブリティッシュとアメリカン・ロックの見事な融合を成し遂げた作品
に仕上げたと言える。



( 2004/03/03 UP)