DAVE EDMUNDS

King Of Rock'n Roll’いつの日からか、人は彼のことをこう呼ぶようになった。
今回は‘PUB ROCK’特集でも取り上げたデイヴ・エドモンズの登場だ。
1967年‘HUMAN BEANS’にてロックン・ロールのキャリアをスタートさせたエドモンズは
次いで‘LOVE SCULPTURE’にて‘Sabre Dance’(剣の舞)を全英6位とブレイクさせて、
一躍その名を広く知らしめた。その後はソロ活動を通して盟友‘ニック・ロウ’らと共に今と
なっては伝説のバンドとなってしまった‘ROCKPILE’を結成する。しかし、ロック・パイル名
義のアルバムはたった一枚残しただけで解散することに。その後はプロデューサー業をや
りつつもソロ活動を続け、知る人ぞ知る‘キング・オブ・ロックンロール’として現在も尚その
ロックン・ロール魂は衰えていない。
日本での人気・知名度は今一歩というところだが、ロックン・ロールに取り組む真面目な、
そして70年代から変わらぬ頑固なまでのその一貫した姿勢は確実なファンを掴んでいると
言えよう。
そんな彼の70年代のアルバムを中心に紹介しよう。



GET IT
(1977)
ツェッペリンのスワン・ソング・レーベル移籍後の1作目で、バック・メンバーは
ニック・ロウを初めとしており後の‘ロック・パイル’へと発展することになる。
ボブ・シーガーの‘GET OUT OF DENVER’や彼のコンサートのセット・リストの
常連曲となる‘HERE COMES THE WEEKEND’や‘JUJU MAN’などの演奏が
小気味良い。ニック・ロウが共作を含め4曲と大いに貢献しており、2人の切っ
ても切れない関係が始まる。ロウ作の‘I KNEW THE BRIDE’はやはり傑作。
またビーチ・ボーイズ風のコーラスが楽しいナンバー‘GET IT’なんかを聴くと
ロカビリーだけではない、彼の別のルーツを少し垣間見たような気がします。
TRACKS ON WAX
4
(1978)
ギターにBilly Bremnerが参加し、実質的にはこれで‘ROCKPILE’のメンツが
揃った記念碑的アルバム。アルバム冒頭の‘TOUBLE BOYS’やチャック・ベリ
ーの‘IT'S MY OWN BUSINESS’を初めとして、どれもエドモンズのVo.が気合
の入った素晴らしいナンバー揃いである。ここでもライヴでの常連曲‘NEVER
BEEN IN LOVE’‘HEART OF THE CITY’などを収録。世間的にはエドモンズ
のアルバムの中では地味なアルバムとの印象が強いが、隠れ名盤だと私は
思っている。
REPEAT WHEN
NECESSARY
(1979)
全曲カヴァー曲でありながら、誰もが認める名盤がこれ。メンバー的には前作
と同じで、ここからはエルヴィス・コステロの‘GIRLS TALK’、グラハム・パーカ
ーの‘CRAWLING FROM THE WRECKAGE’や‘QUEEN OF HEARTS’が余り
にも有名なナンバーで、もちろん彼らのライヴのセット・リストの常連曲。面白
いのは後にセルフ・アルバムにも収録することになるナンバー‘BAD IS BAD
を提供しているヒューイ・ルイスが同曲にてハーモニカにて参加している点だ。
ヒューイ・ルイスと言えば、ニック・ロウが後にセルフ・アルバムに収録した‘I
KNEW THE BRIDE’でTHE NEWSと共にバックで演奏をつとめた事でも有名
で、米英の違いはあっても(パブ・ロックの)類は友を呼ぶというやつか?
尚、ここでの‘BAD IS BAD’はアップ・テンポのロックン・ロール調で演奏され
ており、エドモンズの独壇場とも言える、。全体的には余裕の有る演奏が光る
アルバムだ。
TWANGIN...
(1981)
ロック・パイルとの最後の競演作となったアルバム。全体的に落ち着いた雰囲
気の曲が多く、ヴォーカル・演奏ともに円熟期に入ってきた感がある。ロウとの
共作‘LIVING AGAIN IF IT KILLS ME’がとてつもなく良くって、何回も聴き
なおしてしまうナンバーだ。また、ジョン・フォガティーの‘ALMOST SATURDAY
NIGHT’のカヴァーなど相変わらずセンスの良いところを見せてくれている。こ
こからは以後のステージで演奏されてる曲は少ないが、渋い選曲と安定感の
ある演奏で聴いていて疲れない。ラスト・ナンバーで‘BABY LET'S PLAY
HOUSE’を若い頃のプレスリーそっくりに歌ってるところがご愛嬌です。
D.E.7TH
(1982)
彼のイニシャルとギター・コードとソロ7作目を引っ掛けた洒落たタイトル・アル
バム。いつもの御機嫌なロックン・ロール集ではあるが、唯一違っている点は
サウンドがアメリカン志向、とりわけカントリーに傾倒している所だ。B・スプリ
ングスティーンがプレゼントした曲‘FROM SMALL THINGS,BIG THINGS
COME’もエドモンズのオリジナルであるかの様に歌われていて、まさにツボに
ハマッタ感じのロックン・ロールに仕上がっている。どの曲もカントリー・フレイ
ヴァーに溢れ、曲によってはピアノやバンジョー、ホーン・セクションなどが効
果的に使われている。そこには数曲に参加したカントリー・ギターの名手、ア
ルバート・リー(クラプトンの『アナザー・チケット』『マネー・アンド・シガレット』な
どにも参加)の熱演が光っているのも見逃せない。ピアノをバックに切々と謳
い上げるメロディーが美しいナンバー‘ONE MORE NIGHT’でホロッとし、お約
束通りのチャック・ベリーの渋いカヴァー‘DEAR DAD’で幕を閉じる。これもや
はり名盤と言わざるを得ない。

オマケ
A PILE OF ROCK
LIVE
(2000)
何枚かデイヴ・エドモンズの公式ライヴ・アルバムは出ているが、私はこれが
一番だと思う。細かいデータが無いので良くは分からないのだが、たぶん19
97〜98年頃のライヴだと思う。場所も良く分からないがこじんまりとしたライ
ヴ・ハウスみたいな感じだ。選曲的には上で紹介したアルバムからも多く演
奏されていて文句無く、20世紀のエドモンズのロックン・ロールの集大成ライ
ヴとも言える。バック・メンバーにはロック・パイルの旧友ビリー・ブレムナーや
ジェリー・リー・ルイス(?)の名前まで見れるのだから、ロックン・ロールにどっ
ぷりというヤツだ。‘THE WANDERER’や‘I'M READY’‘CRAWLING FROM THE
WRECKAGE’などロックン・ロール・クラシックス・ナンバーでの楽しそうな演奏
やビートルズのカヴァー‘LADY MADONNA’でのさり気ないギター一本での演
奏もまた聞き手を存分に引きつけるものがある。締めはチャック・ベリーの2連
発(実際の曲順は違うかも知れないが)で、頭の先からつま先までロックン・ロ
ーラーですね、この人は。21世紀も変わらずにいて欲しい人です。最後に、ス
テイタス・クォーと競演なんて事が実現したとしたら何処であろうとすっ飛んで行
くこと間違い無し。‘THE WANDERER’やチャック・ベリーでも演奏しようものなら
その場で死んでも本望である。