Jay Ferguson ジェイ・ファーガソン


ジェイ・ファーガソンは60年代後半にアメリカン・ロック・バンド、スピリットの一員として活躍、
その後70年代に入るとジョ・ジョ・ガンを結成する。
私がジェイ・ファーガソンを知ったのはジョ・ジョ・ガンからである。しかしそのジョ・ジョ・ガン
を知ったのも、とっくに解散した後の90年代に入ってからの事ではあったのだが・・・。
ファーガソンのメロディ・ラインは一聴して彼のものだと分るほど独特のトーンがあって大
好きだ。ソロ・デビューの時が1976年、もしもファーガソンが「ホテル・カリフォルニア」時代
のイーグルスに参加していたら、とか想いを馳せる。
ウェスト・コースト・サウンドの中で異彩を放ったファーガソンのアルバムを紹介したい。


All Alone In
The End Zone

(1976)
前年にジョ・ジョ・ガンを脱退したファーガソンのソロ・デビュー・アルバム。次作
「Thunder Island」のヒットを予感させるようなサウンド、そして音作りがある。
単にウェスト・コースト・サウンドの一言では言い表せない懐の広いサウンドと
曲作りがされている。
Snakes On The Run」や「To The Island」に代表されるような、イントロの独
特のピアノの旋律がファーガソンの個性を充分に感じさせる。ジョ・ジョ・ガン
時代には無かった自由奔放さが随所に見られ、コンポーザーとしての力量が
成長した証が確実に伝わってくる。長年の付き合いであるプロデューサー、
ビル・シムジクの協力も見逃せまい。
ジョー・ウォルシュがギターで参加しているせいか、何曲かではイーグルスを
連想させるようなサウンド、メロディが聴けるのが妙。
Thunder Island

(1978)
全米9位まで駆け上ったタイトル・ナンバー「Thunder Island」を筆頭に随所で
ジョー・ウォルシュのスライド・ギターのプレイが光る。各ナンバーに聴かれる
ようにレゲエのリズムを上手く取り入れつつ、個性の強いメロディ・ラインが随
所に散りばめられた奇跡のアルバムに仕上がった。
ビル・シムジクのプロデュースの下、前作にも増して溌剌としたサウンドが顕
著。肩の力が抜けたサウンドとメロディが心地よさを誘い、フロリダ録音発の
ウェスト・コースト・サウンドが乾いた風をなびかせる。そしてこの年に初来日。
アルバムとしては全米72位に留まった。
Real Life
Ain't This Way

(1979)
前2作と比べるとハードさが増し、ウェスト・コースト・サウンドと言うよりはアメ
リカン・ハード・ロック色を増したアルバム。
ハードなギターを全面に打ち出したナンバーが印象に残る中、アルバム冒頭
の「Shakedown Cruise」が全米31位のスマッシュ・ヒットとなり、相変わらずの
ジョー・ウォルシュらのサポートが光る。特に「Paying Time」でのギターには思
わずニヤリとさせられる。また、珍しくローリング・ストーンズをカヴァーしてい
るが、ファーガソンらしさはあまり感じられない。
アルバムとしては86位に留まり、前作同様イマイチ勢いに乗れなかった。
Terms And
Conditions

(1980)
アサイラムよりキャピタルに移籍後初のアルバム。ファーガソンのソロ・アル
バムの中ではあまり語られる事の無い一枚だが、一聴してファーガソンと分る
メロディに溢れた楽曲群。ウェスト・コーストという括りだけではもはや彼のサ
ウンドを語る事は出来なくなり、時代を反映したキーボード主体の音作りがな
されている。だからと言ってファーガソンの楽曲の質が落ちたと言う訳では決
して無い。これまでの3枚のアルバムでは必ず自身をジャケットに載せていた
が、ここでは初めてイラストによるジャケットが使われ、全10曲が4分以内の
楽曲が並んだ80年代AORな香りが漂う。
プロデュースもこれまでのビル・シムジクとは変わっている。
White Noise

(1982)
80年代のアルバムを紹介するのはこのサイトではご法度だが、彼だけは特
別な存在だ。移籍後2枚目のアルバムにして、ファーガソンのポップ・アルバ
ムとしてはラスト作。以後、彼はTVや映画の世界でその手腕を発揮する事に
なるが、このアルバムで全てやり尽くした感があったのかも知れない。
珍しくカヴァー・ナンバーが2曲、ビートルズ「I'm Down」とプレイヤーの「Baby
Come Back」で、可も無く不可も無く。それ以外のオリジナルでのメロディ・セ
ンスはポップ度が飛び抜けている。甘酸っぱいロックン・ロール「Tonight」や
一度聴いだけで口ずさんでしまうような「Million $」のサビの部分だけでも、
このアルバムを聴く価値は充分ある。
いつかポップな世界に戻って来てほしいミュージシャンである。




( 2011/04/09UP)

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