Roger Glover (ロジャー・グローヴァー)

ご存知、ロジャー・グローヴァーはディープ・パープルのベーシストとしてあまりにも有名な人。彼のプロデュースした
曲を初めて聴いたのがステイタス・クォーの1976年発表の「ワイルド・サイド・オブ・ライフ」だった。シングル曲では
あったが、これ一曲だけで、ロジャー・グローヴァーがプロデュースした曲は超カッコ良いんだというイメージが出来
上がってしまった訳だ(笑)。イメージとしてはハードな中にもちょっとメロディアスな部分があって、やはりノリの良い
ロックをプロデュースする人という感じでしょうか。先に『レアなこの一枚』でご紹介した‘ELF’にしてもどれもご機嫌
なハード・ロック満載だし、それに写真で見る限り彼の人柄は温厚そうで良さそうだし、高感度アップですね^^;
下に紹介している他にはアイルランド出身のギタリスト、ロリー・ギャラガーのアルバムもプロデュースしているとの
ことなので、こちらも是非とも探して聴いてみたいものです。



Loud ‘N’Proud
(1973)

Nazareth
ナザレスは今も現役で、70年代から頑張っている数少ないバンドの一つだ。だからという訳でもないの
だが、このバンドにはどこか愛着さえ感じてしまうのである。私が始めて彼らのサウンドに接したのは
75年の「人喰い犬」のアルバムだったから、今回ここで紹介する「Loud‘N’Proud」は発売当時には聴
いていない。初期のアルバムの中でも傑作の部類に入るアルバムらしく、ロジャー・グローヴァー・プ
ロデュース作3部作(72年の「Razamanaz」〜74年の「Rampant」)のちょうど真ん中に当たる通算4枚目
のアルバム。リトル・フィートやジョニ・ミッチェル、ボブ・ディランの曲をカヴァーしているところが当時
のブリティッシュ・ロックのバンドにしては異色中の異色と言った感じだが、オリジナル・ナンバーの中
に挟み込まれたこれらの曲を含む全8曲、どれもが引き締まった緊張感に包まれた好演奏と言える。
ハードな中にもポップなメロディ・ラインが光る‘Go Down Fighting’‘Not Faking It’や、ナザレス特有
のカントリー・タッチなバラード‘Child In The Sun’、そして先に述べたカヴァー曲など、どれもが素晴
らしい。ナザレスを好きだと言う人は、なんか生粋のブリティッシュ・ロック通というイメージが私の中
にあったりするのだ。
The Buttfly Ball
(1974)

Roger Glover
ディープ・パープルを脱退した1973年、ロジャー・グローヴァーの元に一冊の絵本を音楽にしてみな
いかという依頼があった。それがこの「バタフライ・ボール」で、言ってみればミュージカルのようなも
のだ。彼の元に集まったヴォーカリストがまたパープル・ファミリー人脈とも言える面々で、グレン・
ヒューズやロニー・ジェイムス・ディオ、デヴィッド・カヴァーデイルを初めとして、ロニーと一緒にエル
フにいたピアノ奏者のミッキー・リー・ソウル、パープル・レコードからデビューしたハード・スタッフと
いうバンドにいたジョン・ガスタフスン、ジョン・ロートンやトニー・アシュトンなんて人までもが参加して
たりする。全編どれも1曲1曲のクオリティは実に高く、どれもが多彩な輝きを放っているアルバム。中
でも素晴らしいと思った曲は当時イギリスでもシングル・カットされたという‘Love Is All’。ここでのロ
ニー・ジェイムス・ディオのVo.が素晴らしく、シンフォニックでありながらもビートルライクなメロディを
持ったこの曲を謳い上げるロニーに拍手パチパチです。タイトルからも「All You Need Is Love」と
少しメロディ・ラインが似ている所ころはご愛嬌といったところでしょうか。
Strapps
(1975)

Strapps
このストラップスというバンドはちょっと捉え所がないバンドなんですが、この頃のイギリスのロック事
情はと言えばイマイチ盛り上がりに欠けていた時期でもあり、混沌とした中、幾多のバンドがデビュー
を果たしては消えていったような時期でもあったような気がします。ストラップスもそんなバンドの一つ
なのかも知れませんが、その個性的なサウンドは一部のマニアの間では結構人気があったようです。
ルックス的にも結構良くって、日本のロック雑誌のグラビアで時々目にしたことがありましたっけ。で、
肝心のサウンドはと言えば、ハードなリズムを基本としながらもそのメロディ・ラインにはどことなく退
廃的なムード感を漂わせ、Vo.のロス・スタッグの声質はどことなくブライアン・フェリーやイアン・ハン
ターのような爬虫類的なものを連想させる。特に‘Sanctuary’でのピアノやギターの音色なんて言っ
たらモット・ザ・フープル丸出しで、カッコ良いことこの上なし。シングル・カットされた‘In Your Ear’な
んかもちょっと捻くれたハード・ロックで、キンクスや10ccあたりにも通じる一筋縄ではいかないセンス
・オブ・ユーモアを感じる。アルバム・ラストで切々と歌い上げる力作‘Suicide’なんかも聴き込むと
ハマりそう。いや、中々どうしてこのストラップスはクセになりそうなサウンドを秘めてます。
Sin After Sin
(1978)

Judas Priest
実は今までジューダス・プリーストというバンドは殆どと言って良いほど聴き込んだことが無かったの
であるが、今回このロジャー・グローヴァーのプロデュースによるアルバムをじっくりと聴いてみた。
正直今の気分ではちょっと少しヘヴィなサウンドに感じてしまう。スピーディなツイン・ギター・サウン
ドはしっかりとしたテクニックに裏付けられたもので安定感はあるが、少し何かが足りないような気も
する。それよりはスロー・テンポな曲におけるギターに魅力を感じる。70年代後半のブリティッシュ・
ハード・ロックは低迷していて、幾多のバンドがデビューしてはすぐに姿を消していったが、その中で
このジューダス・プリーストが生き残っていったということは、やはり他のバンドには無い何かがあっ
たのだろう。それが何かなのかは私には判らないのですが、一つ言えることはブリティッシュ・ロック
特有の様式美を兼ね備えたバンドではないか、ということ。特に間奏部のツイン・ギターのハモリに
ドラマティックな展開が垣間見える。一時期のシン・リジーにも通じるような哀愁のメロディ漂う‘Last
Rose Of Summer’がこのアルバムの中では一番好きなナンバーだ。ファンにはロブ・ハルフォード
の高音バリバリのシャウトがたまらないのだろうが、私にはこう言った押さえた感じのバラード・タイプ
の曲のほうがグッときました。
Down To Earth
(1979)

Rainbow
このアルバム一枚のみのVo.参加となってしまったグラハム・ボネットはレインボー・ファンには当時あ
まり評判が良くなかったような記憶があるのだが、私はそんなに悪くはないと思っていた。確かに容
姿はレインボーにしてはちょっと異色ではあったが、結構味のある声で好きだった。ともかく、このア
ルバムはかってのレインボーのアルバムに比べるとかなり異色で、ポップ色が強くなったという点が
一番に挙げられる。それは取りも直さずコンポーザーとしてのロジャー・グローヴァーによる所が大き
いようだ。サウンドも少しアメリカナイズされて余分な肉が削ぎ落とされたような感じだ。‘All Night
Long’‘Since You Been Gone’のヒット曲もアメリカン・マーケットを意識したようなコーラスや軽めの
ハード・ロックになり、リッチー・ブラックモアのギターにさえもそのトーンの軽さにはかってのファンの
多くが戸惑いさえ感じてしまったことだろう。それでもその軽さの中にも‘Denger Zone’などでは得意
の中世ふうのフレーズが垣間見えたり、‘Lost In Hollywood’での往年のD・パープルを彷彿とさせる
ギター・リフが聴けたりとリッチー・ブラックモアいまだ健在なりを示した。


2003/06/01Up