HIKASHU(ヒカシュー)


20数年前の私が大学生の頃に何気なくつけたTVで「ヒカシュー」のライヴを放映していた。ともかくヴォーカルの人の
異様なパフォーマンスに目を奪われてしまった。そのパントマイムには独特の世界があるように思えたし、メロディと
いうよりは語りに近いようなヴォーカルにも一種異様な世界があったように感じた。その人こそが、この「ヒカシュー」
のリーダーである巻上公一氏であった。その時以来、ヒカシューのライヴには接していないが一回は生であの時の
異様な世界を体験してみたいバンドではある。まだ活動しているとのことなので、あの時TVでみた「プヨプヨ」での巻
上公一氏の狂気の世界に触れてみたい。
ここでは初期ヒカシューのアルバム、及び最高のパフォーマンスが詰まったライヴ・アルバムを紹介します。


ヒカシュー

(1980)
当時は確か流行のテクノポップみたいなバンドと思われていたように思うが、それは彼らのライヴに
一回でもなんらかの形で接した人は違うことに気付くであろう。このアルバムにはモデル」というク
ラフトワークの曲がカヴァーされているが、彼らのオリジナル曲と比べるとやはりテンションは低いか
なと感じてしまう。これも確か当時見たTVで演奏していた「ルージング・マイ・フューチャー」なんかで
聴かれるようなサックスの使い方にハイセンスを感じてしまうし、歌詞もこのバンド特有の世界を持っ
ている。日本伝統の能とテクノをミックスした感じの20世紀の終りに」とか、歌謡曲っぽいけど単な
る歌謡曲では終らせない「ラヴ・トリートメント」「雨のミュージアム」といったナンバーも巻上氏が歌え
ばそれは取りも直さずヒカシュー・ワールドになってしまう。そして先にも書いた「プヨプヨ」、なんてシ
ンプルなタイトルの曲であろうか。歌っているときの巻上氏の狂気のパフォーマンスが20年以上経っ
た今でも脳裏から離れない。
うわさの人類

(1981)
アルバムとしてはもしかしたらこちらのほうが有名なのかも知れない。ジャケットも見たら忘れられな
いし。一枚目にも多少そんな所が感じられたけど、このアルバムはジャズっぽいエッセンスをあちこ
ちに散りばめながらも独特のポップな世界を築いている。タイトル曲「うわさの人類」はサビのコーラ
スがなんとも楽しく、スウィングしそうでしないリズムがなんとも言えない。「出来事」も曲だけ聴いた
だけでも、そのハイパフォーマンスな世界を是非とも見てみたいナンバーで、巻上氏の狂気の叫び
はCDからでもビンビンに届いてくるところが凄い。彼らの中では珍しく6分を越える力作の、そしてこ
れも珍しいラヴ・ソングの「アウトキャスト」。これは実に凄まじいラヴ・ソングだ。意味も無く今は亡き
ジョン・レノンに聴かせてみたい。いや、なんとなくジョン・レノンなら絶賛してくれそうな曲だから。
そしてこれも彼らの代表曲の「二枚舌の男」はレトロ感漂うメロディにアバンギャルドな世界を一杯に
繰り広げて聴く者を煙に巻いてしまう。
巻上公一って一体何者?と思わずにはいられないアルバム。
ヒカシューLIVE

(1991)
ヒカシューというバンドのことを良く知りたければ、まずはこのライヴ・アルバムを薦めたい。一体どこ
から声が出て来ているのかと思わせる巻上氏の声も素晴らしければ、バックの演奏も凄い。特に私
が気に入ったのがこのバンドの根底とも言えるサックスのセンスだ。超前衛的なブロウをかまして落
とすセンスが抜群。メロディが合ってないようなインプロヴィゼーション。意味の無いフレーズ。元来、
このバンドにメロディやリズムなどあってないようなもの。「小さな声帯から極楽が生まれる」 という
巻上氏のポリシーがバンド全体のサウンドに浸透している。「でたらめな指」というデタラメだらけの
曲には巻上氏の口上あり、ノイジーなギターサウンドもあればパンキッシュなフリーサウンドが宇宙
の果てまでもかっとんで行くみたいな凄まじさを感じる。ここでの海琳氏のギターはまさに必聴だ。
プヨプヨ」うわさの人類」もスタジオよりもやっぱりライヴで聴きたい。出来れば生で。目と耳からそ
のサウンドを感じたいと本当に思う。もう一つ付け加えると、このライヴでのベース・ランニングには
感心しきりであった。そして最後に一言、まさにアングラ劇団さながらのヒカシュー・サウンドに溢れ
たこのライヴ・アルバムこそ20世紀に残したい一枚と全編聴き終えて強く感じた。


そしてヒカシュー及び巻上公一氏の世界は

http://www.makigami.com/ で見て感じて下さい。



( 2003/6/29 UP)

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