Kai Band(甲斐バンド)


確か甲斐バンドを最初に聴いたのはデビュー間もない頃ヒットしていた「裏切りの街角」とか
「かりそめのスウィング」辺りだったと思う。ラジオから流れてきたそれらの曲は何の変哲も
ない只のフォーク・ソングにしか聴こえなかった覚えがある。それから1〜2年後であったろう
か、ある日TVを付けたら偶然この甲斐バンドのライヴを放映していた。そこで観た甲斐バン
ドのライヴ・パフォーマンスに於ける圧倒的なカッコ良さ!演奏していたナンバーは忘れもし
ない「テレフォン・ノイローゼ」。アグレッシヴでクールな甲斐よしひろの存在感がその日以来
私の脳に深く刻み込まれたのであった。「HERO」や「安奈」のヒット曲があっても、私にとって
の甲斐バンドの存在はTVで観たあのパフォーマンスに勝るものはないのであった。


 Secret Gig (1986)

このアルバムの好きな所は、あの日TVで初めて観た甲斐バンドのクールさが感じ取れるところだ。それは解散後の
まさにシークレット・ギグというライヴの性格上によるものなのかも知れない。リラックスした中にも、もはや全部やり
遂げたという自負が、甲斐のヴォーカル、バンドの演奏にみなぎっているからだ。「Sleepy City」「ジャンキーズ・ロッ
クン・ロール」「ランデヴー」でのエネルギッシュなR&Rナンバー、甲斐お得意の怪しげな黒さが漂う「東京の冷たい
壁にもたれて」「悪いうわさ」、アコースティックなCSN&Yの「Helpless」とビートルズの「Two Of Us」のカヴァー曲、何
て贅沢なギグなのだろうか。私がこのアルバムでハイライトに挙げたい「港からやって来た女」での中島みゆきと甲
斐との魂の掛け合いVo.が実に素晴らしい。これを聴く度に胸の奥深く熱いものが込み上げてくるのは自分でも何で
か未だに良く判らないのだが。
そしてこのシークレット・ギグはバンドを解散した甲斐の胸の内を露土するかのように「破れたハートを売り物に」で
終焉を迎えるのであった。


( 2005/03/07 UP)