SADISTIC MIKA BAND (サディスティック・ミカ・バンド)


元フォーク・クルセイダースのメンバーであった加藤和彦が奥様のミカ夫人、高中正義、小原礼らとともに1972年に
結成したバンド。結成当時はあの「メリー・ジェーン」でも有名なつのだひろ氏もいたらしい。私が彼らの名前を最初
に聞いたのはラジオであったが、当時は何とも思わなかった。ところが1年経ってから素晴らしい曲を同じくラジオで
耳にしたのであった。それが「タイムマシンにお願い」である。この曲はすぐに気に入ってしまった。それから少し時
間を経て彼らがイギリスに渡ってかなり評判になり、ロキシー・ミュージックと共にツァーを回っているニュースを雑誌
で読んだ。日本のバンドがイギリスで有名になっているなんて凄いことなんじゃないかって当時高校生の私は思った
ものだった。洋楽しか聴いていない時期ではあったのだが、今こうして聴いてみると中々当時の日本のロックにして
は異色なものがあったのかもしれない。
彼らが70年代に発表した3枚のアルバムを紹介しよう。


SADISIC
MIKA BAND

(1973)
当時はまだグラム・ロックがブームであったのだろうか。そんな雰囲気漂う曲がちらほらとあったりする。
強烈なブギーのビートに乗った「ダンス・ハ・スンダ」や「アリエヌ共和国」などのナンバーがそういったグ
ラムチックなイメージを漂わせ、トロピカルなジャケットとは裏腹に煌びやかなイメージを演出する。そし
て、このアルバムで私が一番好きなナンバーが「ピクニック・ブギ」。このサイケ調+グラムチックな感じ
がたまらない。ミカのヘタウマ・ヴォーカルがこの曲には最高のデコレーションなのである。他にはやは
り当時ブームの走りとなりつつあったレゲエのリズムを取り入れた「恋のミルキー・ウェイ」や、後にダウ
ン・タウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン・ブギ」の下敷にもなったんじゃなかと思わせる「サイクリング
・ブギ」などの佳曲が揃うが、加藤氏の本質としてはむしろ「シトロン・ガール」のようなノスタルジーを感
じさせる曲なのだろう。
黒船

(1974)
ともかくリズムのキレが良い曲が揃ったアルバム。現在ならともかく、この70年代半ばの日本でこういっ
たリズムを持った曲を書け、また演奏していたこと自体が素晴らしい。シングル・カットされた「タイムマ
シンにお願い」は文句なく素晴らしいロック・ロールで、間奏でのギターの演奏には痺れっぱなしなのだ
が、アルバム中の1曲として捉えると妙に浮いている気がしないでもない。問題は「どんたく」「堀までひ
とっとび」などに象徴されるようなファンキーなノリの曲について来れるかどうかがだ。このリズムに身を
委ねられるかどうかがこのアルバムを好きになるかどうかの最大のポイントと言えるかもしれない。私
はこのアルバムを聴く度にまだまだ彼らに追いついていないことを再認識してしまう。
HOT!MENU

(1975)
前作を踏襲しながらも、ここに彼らのモダン・ポップなワールドを完結させた作品と言って良いだろう。
彼らの日本語に対する感覚はここでも研ぎ澄まされたものがあり「マダマダ・サンバ」「ファンキーMAH
JANG」などのファンキーなリズムに乗せた日本語がとっても心地よいものが感じられる。前作と幾分違
う点はと言えば、インストゥルメンタルにより重きを置いたアルバムというところか。いずれにしても歌詞
ありき、ではあるのだが。この後、彼らはロキシー・ミュージックの全英ツァーのサポートをつとめた後に
帰国し、突如として解散を表明する。突風のように過ぎ去った3年間であった。解散後の76年に「ミカ・
バンド・ライヴ・イン・ロンドン」が発表された。