J.GEILS BAND (J・ガイルズ・バンド)

J・ガイルズ・バンド、このネーミングから私はどうもイモ臭い感じをずっと持っており、レコード・
デビューは1970年であったが、彼らとの遭遇は遅く、76年当時発表の2枚組ライヴ・アルバム
‘Blow Your Face Out’(邦題:狼から一撃!)にて私はJ・ガイルズ・バンドを初体験した。
ものの本には『アメリカのストーンズ』などと書かれていたが、よくその正体は実際のところ判ら
なくって、70年代前半にはラジオなどでは殆ど耳にすることがなかったバンドである。唯一、高
校生の時から良く聴いていたFENの‘Mary Turner Show’というラジオ番組の終わりに流れて
いたテーマ曲(ブルース・ハープに乗っかったテンポ良い曲)が彼らの曲‘Whammer Jammer’
だったというのが、彼等の存在も知らなかった頃の初めての接点だったということ。
彼らの追求したその音楽(=ロック)はブルース、ソウル、R&Bといった黒人音楽に根ざしたも
ので、表現方法は全然違うのかもしれないが、スティーヴ・マリオット率いるHumble Pie なん
かとも比べてみると面白いかも。
そんなボストン出身のむくつけき男達の70年代前半のスタジオ・アルバムにスポットを当てて
以下紹介しよう。尚、プロデューサーは全作ビル・シムジクであり、ライヴ・アルバムはこの項
を参照にしていただきたい。



The J.Geils Band
(1970)
このアルバムジャケットはどことなくザ・バンドの2枚目のアルバム・ジャケット
を想像させる。その音楽性において両者とも泥臭い感じはなんとなく似てはい
るが、こちらの方はよりブルースっぽく男臭さがプンプン漂っている。一曲約3
分の中に集約したブルース魂が脈々と息づくナンバーの目白押しで、‘Wait
Crusin' For A Love’‘Hard Drivin' Man’‘Pack Fair And Square’など何の
変哲も無いロックン・ロールもピーター・ウルフのしわがれヴォーカルとマジッ
ク・ディック・の魔法を生み出すハープにかかれば、思わず耳を凝らしてしまう
アルバムである。
The Morning After
(1971)
アルバム冒頭から威勢の良いブギー・ナンバー‘I Don't Need You No More
でぶっ飛ばす〜アメリカのストーンズと異名を取る由縁か。次はマジック・ディ
ックのホーモニカ独宴会の‘Whammer Jammer’〜ヴォーカル以上に語って
いる。‘Somebody Help Me!’の掛け声に男の色気を感じる‘Looking For A
Love’など相変わらずの泥臭いロックン・ロール集の中にあって、‘The Usual
Place’におけるウルフのソウルフルな歌唱が一際目立つ2作目。
Bloodshot
(1973)
3作目にして初のライヴ・アルバム‘FULL HOUSE’を挟んでの4作目。掛け合
い風のコーラスも威勢の良い‘House Party’や‘Struttin' With My Baby’、
Hold Your Loving’などのナンバーでのウルフのしゃがれたヴァーカルは相
変わらずだが、全体的にバックの安定した演奏が光る。セス・ジャストマンの
ピアノも良く聴くと程よく転がっていて気持ち良いサウンドを生み出している。
Give It To Me’のレゲエを取り入れたリズムも気持ち良く、スマッシュ・ヒット
する。ちょっとレイド・バック入った感じかナ?
Ladies Invited
(1973)
R&Bを中心としながらも、ジャケットのイメージ通りポップな作品が並ぶ。前作
同様カヴァー曲はなく全曲オリジナルで固められており、セス・ジャストマンの
キーボードがかなり前面に押し出されたイメージが強く、アルバム冒頭の‘Did
You No Wrong’(イントロが最高!)や‘The Lady Makes Demands’といった
ナンバーにそれが現れている。全体的にソフトな路線でせまり、バンドの特徴
であったアクの強さが、良い意味で薄れたアルバム。
Nightmares
(1974)
全体的にノリの良い曲が並び、彼らのスタジオ盤では一番好きなアルバムで
ある。冒頭の‘Detroit Breakdown’からJ.ガイルズのギターのカッティングが
強烈なビートを刻む。明るいブギー調の‘Givin' It All Up’ではピーターのヴォ
ーカルも水を得た魚のように威勢が良く、ハードなソウル・ナンバーとも言える
全米12位のヒット曲‘Must Of Got Lost’(邦題:傷だらけの愛)は男の色気を
上手く表現したナンバーで、違った意味でミック・ジャガーと比べてしまうその
ヴォーカルには、やはり魅力がある。ベース・ライン、ギター・リフ共に最高に
いかし、項半の盛り上がりが見事な‘Stoop Down ♯39’なんかもライヴで目
の当りにしたかったナンバーである。
Hotline
(1975)
ジャケットはコミカルであるが、内容はいつもながらの彼ら特有の泥臭いロッ
クン・ロール集。次作のライヴでもハイライトの一つになっている‘Love -It Is
や、‘Eazy Way Out’‘Jealous Love’などの小気味良いシャープな演奏が光
る、レコードで言えば1〜5曲が好きだ。後半はR&Bを中心としたカヴァー中
心の選曲で、久々にマジック・ディックのハープや、お世辞にも上手いとは言
えないJ.ガイルズのギター・ソロなど個々のテクニックが存分に披露された
ナンバーが並ぶ。彼らを知るには最適の一枚かも知れない。次の年に2枚組
ライヴ・アルバム‘BLOW YOUR FACE OUT’を発表して一つの区切りをつけ
たのであった。