Derek Lawrence(デレク・ローレンス)

デレク・ローレンスはやはり70年代初期のウィッシュボーン・アッシュのプロデュース作が素晴らしい出来映えだと
思う。その初期の彼らのブリティッシュ・ロック特有の叙情的な様式美溢れるアルバムが印象に強く残っている。
そんな彼が第1期デイープ・パープルもプロデュースしていたのはかなり後になって知ったが、これにはちょっと
驚いてしまった。あまりにもウィッシュボーン・アッシュのアルバムのイメージが強かったのでパープル=ローレン
スの図式が成立しなかったからである。その後の70年代中期頃からは、エンジェルなどのアメリカのハード・ロッ
ク・バンドを何組かプロデュースしていたようである。何枚か彼のプロデュース・アルバムを持っているので紹介
しましょう。



The Book Of
Taliesyn
(1968)

Deep Purple
パープルは第2期からリアル・タイムで聴いたが、この第1期はあまり聴いたことが無かった。知ってい
たのは、せいぜい‘Hush’とこのアルバムにも収録されている‘Kentucky Woman’くらいだった。ジャケ
ット同様サイケな感じのする曲もあったりするが、私の中でのギター・ヒーローの一人リッチー・ブラック
モアのプレイが堪能できるナンバー‘Hard Road’や上述の‘Kentucky Woman’では第2期に通じる部分
を感じ取れて嬉しい。ジョン・ロードのオルガン・ソロやイアン・ペイスのシャープなドラミングにしてもここ
ら辺から普遍的なものであったことを再認識した次第である。また、ビートルズの‘We Can Work It Out
をカヴァーしてたりするのだが、アート・ロック的な味付けがまたこの時期のパープルを象徴しているナ
ンバーと言えるのかも知れない。邦題は『詩人タリエシンの世界』。
Wishbone Ash
(1970)

Wishbone Ash
なんと言ってもアルバム冒頭を飾るナンバー‘Blind Eye’でのツイン・リード・ギターのばっちり決ったユ
ニゾンが爽快である。全編このギター・ユニゾンがバンドの特徴となり、更に叙情的でメロディアスな旋
律は今までには無い、ブリティッシュ・ロックの新たな夜明けを告げたのだ。また、デビュー・アルバムで
ありながら‘Handy’‘Phoenix’といったナンバーは10分を越える大作となっており、共にメロディー重視
のインストゥルメンタルがクローズ・アップされた聴き応え充分な作品に仕上がっている。
デレク・ローレンスは以後3枚目までのアルバムと1978年の‘No Smoke Without Fire’(邦題:因果律)
をプロデュース。
尚、このアルバムの邦題は『光りなき世界』。私の見解ではデビュー作でありながら名盤であります。
Tiger
(1976)

Tiger
このバンドについては殆ど知識は無いのですが、ビッグ・ジム・サリバンというギタリストが有名らしいで
す。サリバンは古くはトム・ジョーンズのバック・バンドでも演奏していた事のあるセッション・ミュージシャ
ンらしく、かのリッチー・ブラックモアも彼のギターに影響を受けたらしい。サウンドのほうはと言うと、重
厚なブルースっぽいロックという感じはありますが、曲によってはキーボードをフィーチャーした多少プロ
グレっぽい仕上がりになってる曲もあるようで、ラスト・ナンバーの‘Tyger,Tyger’ではイエスやピンク・フ
ロイドを思わせるようなサウンドが聴かれたりもする。リードVo.が2人いて、曲によって歌い分けている
ようだが、2人の絡んだ曲が殆ど無いようなのでちょっと迫力に欠ける部分はあるかも知れない。
The Randy Rhoads
Years
(1978〜1979)

Quiet Riot
ロサンゼルス出身のバンドで、ギタリストには82年に飛行機事故で故人となってしまったランディ・ロー
ズも在籍していた。クワイエット・ライオットのデビュー・アルバムと2枚目のアルバムは確か日本のみの
発売だったと記憶している。このアルバムはランディ・ローズが在籍した78〜79年頃の音源を集めたも
のであるが、デレク・ローレンスはその中で1978年のデビュー・アルバムの曲をプロデュースしている。
クワイエット・ライオットと言うと1983年発表のスレイドのカヴァー曲‘Cum On Feel The Noize’が有名だ
が、ここでは殆どの曲でコンポーザーとしてVo.のケヴィン・ダブロウと共にランディの名がクレジットさ
れていて、今聴くと驚くほどポップで瑞々しいプレイに満ち溢れている。もしランディ・ローズというギタリ
ストに多少の興味があれば、このアルバムを聴いてみることを是非ともオススメしたい。
Legs Diamond
(1978)

Legs Diamond
殆ど同じ時期にロサンゼルスからヴァン・ヘイレン、クワイエット・ライオット、そしてこのレッグス・ダイア
モンドがデビューした。カナダ出身のバンド「Rush」の初期の頃にも似たようなスピーディなハード・ロッ
クを展開しており、曲によってはVo.のリック・サンフォードの声がゲディ・リーの声にそっくりだったりす
る。ギターのロジャー・ロメオとキーボードのマイク・プリンスのプレイが上手く噛み合った曲の出来が良
いようで、‘Rock And Roll Man’という曲では以後のアメリカン・プログレ・ハードにも通じるようなサウン
ドが展開されている。彼らはこれ以後も精力的にアルバムを発表していったようだが、イマイチ個性の
あるサウンドが見られなかった為か、ビッグ・ヒットを生み出すには至らなかったと記憶している。
当時の邦題は『衝撃のマシンガン・ギター』であった。

Tigerの音源・画像はフィニルさんから、Legs Diamondの音源・画像はYasuさんから頂いたものです、Thanks

Quiet Riot