LORD SUTCH (ロード・サッチ)


‘ロード・サッチ’、彼の名前を初めて知ったのは昔ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンを聴きまくっていた頃に
音楽雑誌で彼の名前を目にしたからで、ジミー・ペイジやリッチー・ブラックモアらとセッションしたレコードを出して
いるというハナシからだ。彼がその時は何者であるかは良くは判らなかったのだが、雑誌のレコード評ではともかく
彼らのプレイが素晴らしいとのことだったので、是非とも聴いてみたいとの一心で中古レコード屋さんを何軒も回っ
てようやく巡り合えた。ロード・サッチ自体のヴォーカル・スタイル自体はあまり好きにはなれないものだったが、入
手したレコードはリッチー・ブラックモアが全編ギターを弾いていたので幾つか記憶に残るプレイがあった。ロード・
サッチ自身について実は今もあまり良くは判らないのだが、最近になって偶然CDで見かけたので懐かしくなって買
ってしまった。当時レコードにノイズがはいるので傷が付いているのかと思っていたら、CDでもやはり同じ個所でノ
イズが入っていた。その懐かしいCDを紹介しよう。



Hands Of Jack
The Ripper

(1971)
リッチー・ブラックモアの他、ベースにノエル・レディング、ドラムにキース・ムーンらが参加した言わば
スタジオ・セッションだ。オリジナル曲の他には‘Roll Over Beethoven’‘Bye Bye Johnny/Johnny B.
Goode’らのチャック・ベリー・ナンバーや‘Good Golly Miss Molly’‘Great Balls Of Fire’‘Tutti Frutti
Medley’などのオールド・ロックン・ロールが並ぶ。その中やはりブラックモアのギターが全編これ素晴
らしい。セッションの時期的にはたぶんパープルの‘In Rock’よりも前だと思うのだが、フレーズの閃き
という点ではこの頃から郡を抜いているのが良く判る。9分以上にも及ぶオリジナル曲‘Hands Of
Jack The Ripper’はかなり演劇的要素が見られる曲で、夜な夜な殺人鬼が殺戮を行う様を効果音を
交えながらオドロオドロしく演奏している。チープな女性コーラスと共にサッチの仰々しいモノクローム
がこの人が何者かを表わしているかが良く判るナンバーだ。
当時の早弾きギタリストと言えばやはりリッチー・ブラックモアがその代名詞みたいになっていだが
Gotta Keep A-Rocking’や‘Good Golly Miss Molly’などのギター・ソロではそれを実証するかの
ような凄まじいプレイが聴ける。ライヴ一発録りでのノリを加味しても彼独特のプレイがここでは聴け、
こういうロックン・ロール・ナンバーもブラックモアは実は好きなのかもしれない。彼の若き日のギター
小僧面目躍如といった瑞々しいプレイが聴けるこのアルバムはまさにブラックモア・ファンのマスト・
アイテムと言えるかもしれない。
Rock And Horror

(1982)
10年経っても相変わらず黒いマントに黒いシルクハット、切り裂きジャックの格好をしてました(笑)。
で、やってる音楽も殆ど変わりなし、と言ったところか。‘Screaming’Lord Sutchと異名をとってるらしく、
ここでも全編意味の無い雄叫びを所狭しと振りまいています。曲のほうも‘Screem And Scream
Monster Rock’‘Rock And Shock’‘Murder In The Graveyard’などどオドロオドロしいタイトルが
並ぶ。敢えて60年代ふうロックン・ロール調に演奏されているようですが、そこがこの人の雰囲気には
ぴったりと言えばぴったりではあります。ここでは殆どが彼のオリジナル・ナンバーではありますが、
チャック・ベリーのナンバーと言っても誰も疑わないような‘London Rocker’‘Go-Berry-Go’(これは
タイトルから言ってもモロ、ベリーの賛歌)といった曲が雰囲気が出ていて良いみたいです。
いかにもイギリス的な人ではありますね。