FLEETWOOD MAC(フリートウッド・マック)


フリートウッド・マック:古くは1967年頃にイギリスで結成されたブルース・バンドで、ピーター・
グリーン、ジェレミー・スペンサーらの優れたギタリスト達を輩出している。70年代に入ってから
ボブ・ウェルチ(G.Vo.)とクリスティン・マクヴィー(Key.Vo.)の加入によって、そのサウ
ンドは徐々にアメリカナイズされたポップなものになっていった。そして75年、スティーヴィー・
ニックス(Vo.)、リンジー・バッキンガム(G.Vo.)の加入によってMacは遂に押しも押されぬ
アメリカン・ポップス(ロック)の最高峰に君臨する存在までになったのである。厳密に言えば純
粋なアメリカン・バンドでは無いが、ここではアメリカン・ロックにて紹介する事にした。



FLEETWOOD
MAC
(1975)
全米No.1となり70週以上もチャート・インしたアルバム。しかし、私の記憶の中
ではそんなに売れたアルバムとの認識が何故か無い。アルバム冒頭を飾るポッ
プ・エッセンス一杯の‘MONDAY MORNING’からすでにブルース・バンドの面影無
く、見事にアメリカン・バンドへと変身を遂げたことを証明してくれる。スティーヴィー
・ニックスの妖艶な魅力もそうだが、リンジー・バッキンガムの明るいギター・トーン
・サウンドがこのバンドにもたらした功績は大きいと思う。シングル・ヒットも‘OVER
MY HEAD’‘RHIANNON’‘SAY YOU LOVE ME’など連発。他に唯一のカヴァー曲
のロックン・ロール・ナンバーでバッキンガムのギター・サウンドが光る‘BLUE
LETTER’、マクヴィー作のシャッフルなリズムが弾むナンバー‘SUGAR DADDY’な
ど佳曲が揃う名盤だ。邦題の『ファンタスティック・マック』もナイスです。
RUMOURS
(1977)
これぞ万人が認めるモンスター・アルバム。前年ピーター・フランプトンの‘Comes
Alive’が全米初の1000万枚セールスをあげたのに続いて、こちらも負けじと1600
万枚を軽々と突破して31週連続(!?)No.1を記録。更にはここからのシングル・カ
ットの4曲が1位の‘DREAMS’をはじめとして全てトップ10入りという離れ業もやっ
た。全曲3分半位というのがミソで、キャチーなポップ・ロック・ソングが3人の個性
豊かなVO.と相俟って見事なまでの70年代最強のポップ・ロック・アルバムという
金字塔を打ちたてたと言える。ジャケットも素敵な一枚です。でも。トータル的には
前作のほうが私は好きかな?何故か?う〜ん、好きになれない曲が2曲程あるの
で・・・特に最後の曲ってそのアルバム全体の印象を強く結構左右するじゃないで
すか。(スティーヴィー、ごめんなさい)
TUSK
(1979)
LPでは初の2枚組で発売され、3人の個性が益々はっきりと現れたアルバムとい
う点ではビートルズのホワイト・アルバム的な趣も多少覗かせてくれる。珍しくアル
バム冒頭を飾るのはクリスティン・マクヴィーのメロディアスなバラード・ナンバーの
OVER & OVER’だ。ここら辺からも前作とは明らかに性質が異なってるアルバム
だという事が分かる。ここからはスティーヴィーの‘SARA’、リンジーの‘TUSK’等
がヒット。全20曲のうち、クリスティン6曲・スティーヴィー5曲・リンジー9曲というバラ
ンスになっているが、やはりどれもがシングルになってもおかしくは無い出来で、ポ
ップ・エッセンス溢れるアルバムと言える。個人的にはスティーヴィーの‘ANGEL
が歌・演奏共にベスト・ナンバーだと思っているのだが。LP購入時(輸入盤)に2枚
目のほうが恐ろしくらいレコード盤が反っていて、いつ針が飛ぶんじゃないかと不
安に思いながらこの曲を聴いていた憶えがある。CDになってからも、このアルバ
ムの後半になるといつもそれが頭に浮んでしまうのだ。アルバム全体としての統
一感は薄い。アルバム全米4位。
MIRAGE
(1982)
79年発表の‘LIVE’を挟んで、久々のスタジオ・アルバム。にも係らず相変わらず
のポップ・チューン満載のこのアルバムもまた軽々と全米5週連続1位となる。ここ
からも当然シングル・ヒット‘HOLD ME’‘GYPSY’を連発。特にGYPSYでのスティー
ヴィーの妖艶な艶姿が印象的なヴィデオ・クリップは男性であれば誰でも忘れられ
ないはず。しかし、内部での個々の分裂はすでにこの時期決定的になっていたと
記憶している。クリスティンの離婚、スティーヴィー&リンジーの離別・・・。そんな事
はお構いなくMacは我が道を進みつつ、遂にソロ・アルバムへとそれぞれの道を
進み始め、遂に解散説も流れ始めたのである。シングルはともかく、アルバムとし
てのMacへの興味は個人的に薄れ始めた時期でもあった。
TANGO IN
THE NIGHT
(1987)
個々のソロ・アルバムを挟んで、実に5年振りの発表となった本作の第一印象は
と言うと『暗い』である。まぁ、前作あたりからもこの兆候はあったのだが、ここでは
更に顕著である。70年代の頃の明るいポップなイメージが薄いのである。それで
も‘BIG LOVE’‘SEVEN WONDERS’‘LITTLE LIES’などのヒットを出し、アルバム
は全米7位となってその底力を示す。やはり明らかに70年代と違うMacに私は戸
惑いを隠せなかった。その後リンジーが脱退するのだが、新生Macは私にはあま
り聴く気を起こさせてくれなかった。Macもまた巨大なアメリカン・マーケットに呑み
込まれてしまった感は隠せなかった。



Stevie & Lindsey