Frankie Miller (フランキー・ミラー)


私が「フランキー・ミラー」の名前を初めて聞いたのはシン・リジーの1974年のアルバム
「NIGHT LIFE」中の「Still In Love With You」(それでも君を)であった。フィル・リノットに
負けず劣らず、堂々と謳い上げるその人は当時は私にとってまだ未知の存在であった
が、何か気になる存在ではあった。
それまで幾度と無くその名前を聞いてはいたが、何となく縁が無くって殆ど耳にした事が
ないアーティストってのがあって、フランキー・ミラーこそがその代表的なアーティストと言
っても過言ではなかった。
しかし遂にその時がやって来た。中古CD屋で見つけた彼のベスト盤がその出会いとなっ
たのだ。大好きなロッド・ステゥアート、ポール・ロジャースにも負けず劣らずのハスキーな
歌声は一度聴いたら忘れられない。以後、フランキー・ミラーに取り憑かれる日々が続い
たのであった。


Once In A
Blue Moon

(1972)
スコットランドが生んだ英雄の一人、フランキー・ミラーのこれがデビュー作だ。
まさにブリティッシュ・スワンプな味わいが満喫できるアルバムで、バックはブ
リンスリー・シュウォーツの面々が固める。素朴な中に脈々と息遣いが伝わっ
てくるフランキーの声が妙に新鮮だ。「Candlelight Sonata In F Major」や
It’s All Over」と言った転がるようなR&Rナンバーが私の好みだが、「Ann
Eliza Jane」のような軽いフォーク調のナンバーやボブ・ディランの「Just
Like Tom Thumbs Blues」と言ったちょっと牧歌的なホノボノとさせてくれる
ナンバーにもどこか親しみを覚えてしまう。丁度、ロッド・ステュアートの「ガソ
リン・アレイ」辺りのアルバムを想い起こさせてくれる。
良き年代だったに違いないと認識させられるアルバムには違いない。
High Life

(1974)
アラン・トゥーサンによるプロデュースでニューオリンズ録音盤。この頃のブリ
ティッシュ・アーティストによるアメリカン志向は流行だったのか?エリック・ク
ラプトン、ロッド・ステュアート然りである。しかし、このジャケットはどうも違和
感があるなぁ。音のほうは推して計るべし。スリー・ドッグ・ナイトのカヴァーで
も有名な「Play Someting Sweet(Brickyard Blues)」収録。ここで初めてこの曲
がアラン・トゥーサンの曲だと知った^^; アルバムを通して全編、ニューオリン
ズの香りがプンプンと漂う。この人の経歴とこのジャケットを隠して聴かせたら
知らない人は殆ど黒人だと思うだろう。「With You In Mind」「Just A Song
I'll Take A Melody」などトゥーサン作のナンバーが光り、全編に使われるホ
ーン・セクションとピアノと女性バック・コーラスが何とも素晴らしい。手法は違
えど、スティーヴ・マリオットと同じくソウルに対する畏敬の念をその歌声に感
じずには居られまい。
The Rock

(1975)
全編ミラー作で固められたこのシンプルなタイトルのアルバムは、バック・メン
バーにヘンリー・マックロー等を連ねて一枚目のようなスワンプ系なサウンドと
二枚目のブルージーでソウルフルなサウンドのナンバーが多い。あのUFOも
カヴァーした「A Fool In Love」(アンディ・フレイザーとの競作)やボブ・シーガ
ーのカヴァーでも有名な「Ain't Got No Money」とか「I'm Old Enough」などが
独特のミラー節でノレるナンバー。「All My Love To You」「Bridgetown」は
‘ブルー・アイド・ソウル’の異名を取るミラーの真骨頂でオーティス・レディング
やサム・クック等ミラーが尊敬するアーティストに負けず劣らずエモーショナル
なヴォーカルが際立つナンバーだ。何れもマックローのギターが光っている。
Full House

(1977)
一作目からの久々のイギリス録音盤。プロデューサーはクリス・トーマスで一
作毎にバック・ミュージシャンの面子が変わっているがミラーのサザン・ソウル
とも言うべきか、相変わらずのコブシの入ったVo.が素晴らしい。1曲目のアン
ディ・フレイザー作の「Be Good To Yourself」はそれこそ脂の乗り切った頃の
ポール・ロジャースにも匹敵する位のノリがあるし、「The Doodle Song」「Love
Letters」「Down the Honkytonk」「Live In Vain」等のR&Rナンバーでも然り。
時にはボブ・シーガーであったり、時にはロッド・ステュアートだったりとその歌
い方の表情は変えどもVo.のスタイルは普遍的だ。ジョン・レノンの「Jealous
Guy」も色々な人がカヴァーしているが、ミラーが歌うと一辺でソウル・ナンバ
ーに様変わりしてしまう所が面白い。このジャケットはナイスな感じがします。
Double Trouble

(1978)
このアルバムも良いんだか悪いんだか良く判らないジャケットでありますが、
中身のほうは間違いなくベストです。中でもマービン・ゲイの「Stubborn Kind
Of Fellow」が秀逸である。これのオリジナルは全然聴いたことが無いので何
とも言えないが、バックの女性コーラスやホーン・セクション、ハンド・クラップ
と、そのどれもが文句のつけようも無くこのナンバーは素晴らしい。聴いてい
てウキウキさせてくれる曲だ。10曲中5曲にポール・キャラックと言う人のクレ
ジットが見られるが、元エースというバンドに居た人で「How Long」のヒットで
も知られるバンドだ。そのキャラックとの競作「The Train」「You'll Be In My
Mind」「Love Waves」なんかはどれもが皆ノリの良いナンバーだが、どこかに
黒っぽさが感じられる。彼のルーツ・ロック的な部分と敬愛して止まないルー
ツ・ソウル的な部分がこのアルバムのプロデューサー、ジャック・ダグラスによ
り上手くマッチしたアルバムに仕上げられたと言って良いと思う。
以後、彼は80年代に入っても素晴らしいアルバムを出し続けたが90年代の初
めに脳内出血により倒れ、今でもリハビリ生活が続いているらしい。



復活の日を望んでいるファンの声は日本でも多い。頑張れフランキー!

( 2007/01/15 UP)