MONTROSE (モントローズ)

1973年デビューのサン・フランシスコ出身のハード・ロック・バンド。リーダーのロニー・モントロ
ーズは初代エドガー・ウィンター・グループのギタリストでも有名であったが、その他のメンバー
は当時はまったく無名であった。ヴォーカルにサミー・ヘイガー、ベースにビル・チャーチ、ドラ
ムスにデニー・カーマッシというのがデビュー時のライン・アップで、特にそのデビュー・アルバ
ムは現在でもアメリカン・ハード・ロック史に残る名盤と誉れ高い。全部でアルバムを4枚残して
解散後は、メンバーはそれぞれヴァン・ヘイレンやハートといったその後のアメリカン・ロックに
その名を刻むであろうバンドに加入したことを考えると、ナルホド、凄いメンバーが揃っていた
のかな、とも思えるのだが、当時はともかくロニー・モントローズのハードなギター・プレイにの
み注目が集まっていた憶えがある。
そんな彼らが残したアルバムを以下に紹介していきたい。



MONTROSE

(1973)
全編これハード・ロックの塊とも言うべきサウンド群。今までの‘Mountain’‘G・F・
R’といった私の中でのアメリカン・ハード・ロック・サウンドに対するイメージを完
全に打ち破ってくれた。ブルースの影響など微塵も見せずに、ただひたすらハー
ドなギター・サウンドを轟かせて疾走するナンバーがひしめく中、‘Rock The
Nation’‘Good Rockin' Tonight’‘One Thing On My Mind’といった豪快なギター
を売りとした曲や‘Space Station 5’のようなスペーシーにドライヴする曲など
どれもが必聴曲である。ロニー・モントローズのワンマン・バンドと言った感が強
いが、このバンドはむしろそれで良かったのだとも思う。さすが今聴くと古臭いが
当時はインパクト充分なサウンドであった。
PAPER MONEY

(1974)
当時、日本ではこちらが先に発売された2枚目。プロデューサーは1枚目と同じ
で、ドゥービー・ブラザーズなどでも有名なテッド・テンプルマン。サウンド・イメー
ジはかなり変わり、いろんなタイプの曲を試しているという感じもあり、アルバム
全体としてのイメージは多少散漫な感じも受けるが、一曲一曲の出来としては決
して悪くは無い。スペース・ロックとも言うべきサウンドも随所に見られ、インスト・
ナンバー‘Starliner’が聴き応え充分。1枚目に見られたロニーのギターが疾走
するハード・ドライヴィンなナンバーは影を潜めてしまい、ここではミディアム・テ
ンポのナンバーが中心である。その中、ブルージーなスロー・ナンバー‘We're
Going Home’が異色である。尚、ベースがアラン・フィッツジェラルドに代わって
いる。
WARNER BROS.
PRESENTS

(1975)
恐竜(ゴジラ+ラドン?)を描いたイラストがいかにもアメリカン・ロックという雰囲
気の漂う3枚目で、プロデュースはロニー自身が行っている。ヴォーカルがサミ
ー・ヘイガーからボブ・ジェイムスに代わったのも最大の焦点であるが、キーボ
ードを前面に押し出したサウンドの変化も大いに注目され、当時はこの変化に
かなり戸惑った憶えがある。これといったインパクトある曲に欠けるのがつらい
所ではあるが、ファンキーなリズムが面白い‘Dancin' Feet’、ポップな‘O Lucky
Man’といったナンバーが聴きどころか?新加入ボブ・ジェイムスのヴォーカルの
線の細さが気になる。
JUMP ON IT

(1976)
前作に比べるとボブ・ジェイムスのヴォーカルにも多少の迫力が増したかな、と
思えるモントローズ最後のアルバム。珍しくアルバム冒頭の‘Let's Go’ではスラ
イド・ギターが多様され、あれっと思わせる。このアルバムで私が注目したいの
はエドガー・ウィンター・グループの同志、ダン・ハートマンが2曲提供している点
だ。ファンキーなノリを持ったポップな‘What Are You Waitin' For’と、メロディー
・ラインが絶妙なるバラード‘Rich Man’がその2曲で、特に後者は名曲とも言え
る楽曲だと思うが、惜しむらくはボブ・ジェイムスがこの曲を充分に歌いきれてい
ない点が残念だ。タイトル曲‘Jump On It’を初めとして、ハードな中にもどこか
さらっとしたポップ・フィーリングを持った曲が多く、聴きやすいアルバムではある
が、逆に聞き流してしまう傾向にもある。
尚、ベースにはジョニー・ウィンター・バンドにもいたランディ・ジョー・ホッブスが
参加している。
MEAN

(1987)
ソロやガンマ時代を経て、再びモントローズ再結成アルバムが出されていた。私
はこのアルバムに関しては全然知らなくって、偶然見つけたものであるが、内容
はというと、さすが音だけは80年代の洗練されたものになってはいるが、ハード・
ロック魂だけは変わっていなかった。ここでのライン・アップはロニーの他、ジョ
ニー・エドワーズ(vo.)、ジェイムス・コタック(ds)、グレン・レッチ(b)という顔ぶれ。
ちょっとForeignerにも通じるサウンドが聴かれたりもする(実際エドワーズの声
質はルー・グラムに良く似てると思う)が、‘Don't Damage The Rock’‘Ready
Willing And Able’などのテンポ良い豪快なハード・ギターが聴けるナンバーはさ
すが70年代初期のモントローズを彷彿させ、素晴らしい出来となっている。
もしどこかで見かけたら、買って損はない1枚だ。

THE BEST OF
GAMMA

(1979〜1982)
モントローズ解散後、初のソロ・アルバム発表後に結成されたバンドで79年から82
年までの間に計3枚のアルバムを発表。これはその3枚からのベスト・アルバム。
ガンマ自体はあまり詳しくは知らないのですが、これもどちらかと言うと80年代の
アメリカン・ロックを代表するような音作りがなされていて、やはりフォリナーあたり
を連想させる。スピーディーなハード・ロックよりもどちらかと言うと‘Voyager
Stranger’などのミドル・テンポの曲の中でのロニーのギター・サウンドがじっくり
聴けるナンバーが良いと思った。ここでのサウンドの特徴はキーボードの大胆な
投入にあると言え、モントローズ時代とはまた違ったロックを演出していて、スペー
シーなモダン・ロックとも言える‘Modern Girl’‘Right The First Time’あたりのポッ
プなナンバーを聴くと、これがかつての大ハード・ロックのロニー・モントローズのギ
ター・サウンドかと耳を疑ってしまう。しかし、彼の何枚かのソロ・アルバムに接した
ことのある方は判るだろう、彼が決してハード・ロック一辺倒のギタリストではない
ことを。