OLLIE HALSALL (オリー・ハルソール)

長年、ブリティッシュ・ロック界にて幾つものバンドを渡り歩いてきたこの男こそ真のロッカー
ではないだろうか、という思いがここ数年私の頭の中で駆け巡っていた。その男の名前は
‘Peter Halsall’、通称『Olly Halsall』と呼ばれている。私とオリーとの出会いははっきりとは
憶えてはいないが、たぶんBOXERというバンドでその名前を初めて聞いたような気がする。
その後RUTLESでまた彼に出会い、遡ってPATTO,TEMPESTと聴いてきた。つい最近の事
だ。彼のギターは決して派手なところは無いが玄人ウケするプレイではあったかもしれない。
古くは67年頃から‘TIMEBOX’というバンドでVo.のMike Pattoと共にプレイし、以後この
2人の盟友は‘Patto’〜‘Boxer’へと70年代のブリティッシュ・ロックの1ページにその足跡
を残し、今では共にこの世を去ってしまっている(マイク・パトゥー〜1979年永眠,オリー・
ハルソール〜1992年永眠)。
常に陽の当たらない場所にいた悲運のギタリストの感さえあるが、そんな『オリー・ハルソー
ル』にスポットを当ててツウ好みのアルバムを4枚紹介しましょう。



PATTO 1
(1970)

PATTO
これは‘Patto’のデビュー・アルバムで、ジャズ・エッセンス溢れるプレイとマイク・パトゥーのソウルフルな歌唱法がとても聴いていて気持ちが良い。音のほうはさすがに今聴くと古臭い感じはするが、オリー・ハルソールのギター・プレイには思わず惹きつけられてしまい、R&Bをベースとしながらも、所々にゴスペルやソウルなどをフレイバーさせているサウンドは後のスティーヴ・マリオット(ハンブル・パイ)などのアーティスト等にも少なからず影響を及ぼしたのでは、などと思ってしまう。ドラムスは後に‘RUTLES’に共に参加したJohn Halseyもプレイしており、10分にも及ぶ‘MONEY BAG’では当時『アート・ロック』などど呼ばれていたジャズ・ロック風のプレイが聴ける。パトゥーはこの後3枚のアルバムを発表して1973年に解散した。
LIVING IN FEAR
(1974)

TEMPEST
これは彼ら2枚目のアルバムだが、アラン・ホールズワースがいたデビュー・アルバムと比べるとだいぶポップな彩りが添えられた感じがする。ポール・ウィリアムス(Vo.)も去って、ここではオリーがギター、シンセサイザー、ヴォーカルと大活躍だ。ジョン・ハイズマンのドラムス、マーク・クラークのベース・プレイと相俟っての三位一体のプレイは聴いていて痛快そのもので、ビートルズのカバー曲‘PAPERBACK WRITER’や思いっきりポップな‘YEAH,YEAH,YEAH’やハードな‘FUNERAL EMPIRE’などのナンバーが個々の熟練したプレイを堪能させてくれる。
BLOODLETTING
(1976)

BOXER
Hなジャケットで有名なデビュー・アルバム‘BELOW THE BELT’(1975)に続くセカンド・アルバムで、当時録音されながら数年お蔵入りしていたものらしい。ここでのオリーのギター・プレイは色んなスタイルを聴かせてくれており、アルバム冒頭ではビートルズのカヴァー曲では珍しい‘HEY BULLDOG’を演奏している。マイク・パトゥーのVo.も何となくジョン・レノン風だが、やはりオリーの変幻自在のプレイが痛快だ。後にラトルズへの参加を考えると、テンペスト時代の‘ペイパーバック・ライター’のカヴァーといい、この人余程ビートルズに憧れていたのかなと思ってしまいます。パトゥー、テンペストでは曲作りに参加していたオリーですが、残念ながらここでは一曲も有りません。その分ギターのほうではリラックスしながらも素晴らしい演奏が聴けます。他にも何故か、ビートルズが作りそうな‘THE BLIZZARD’‘BIG CITY FEVER’‘WHY PICK ON ME’などのナンバーがあり、それぞれが突出した出来となっているも面白いところです。ジャケットの物体(?)から流れ出る血の色が何ともリアルで薄気味悪い。
THE RUTLES
(1978)

THE RUTLES
ファンならご存知、ビートルズのパロディー・バンドの最高峰。ビートルマニアの項でも説明したが、元モンティ・パイソンのエリック・アイドルと元ボンゾ・ドッグ・バンドのニール・イネスが中心となってBBCテレビの番組用に制作されたバンド。個々の作品の質の高さ、ウィットに富んだ楽曲は右に出るものはいないのだが、このアルバムを聴くたびに、ビートルズの偉大さというものが改めて再認識されてしまう。ビートルズ以外にここまでやるパロディー・バンドを私は知らない。オリー・ハルソールがどういう経緯でこのバンド(プロジェクト)に参加したのかは良く分からないのだが、上記のバンドを経て得たそのテクニックに裏づけされたギター・プレイは正にこのバンドにうってつけのギタリストではなかったのではないだろうか?私が想像するに音楽面担当のニール・イネスが、やはり熱烈なビートルズ・ファンであったオリー・ハルソールのプレイに注目して、オファーをしたのではないかと想像するのだが・・・。そこら辺の経緯を知っている人がいれば是非とも教えていただきたいと思う。



           Tempest                           BOXER
                                      Below The Belt (1975)





(2001/1/8UP)