Keith Olsen (キース・オルセン)

キース・オルセンはどちらかと言えば80年代になって注目されたプロデューサーかも知れないが、70年代にはあの
フリートウッド・マックのビッグ・ヒット・アルバム「ファンタスティック・マック」やフォリナーを手始めとして手がけ80年
代になってからはベイビーズ、バッド・カンパニー、スターシップ、リック・スプリングフィールド、パット・ベネター、ハ
ートらのアルバムをプロデュースしている。他にも色々とプロデュース・アルバムは多いが、私の所有しているCD
の中から、今までにアーティストのページで紹介されていなかったアルバムを選んでみました。



Mr. Lucky
(1977)

Fools Fold
80年代にハートの「アローン」やマドンナの「ライク・ア・バージン」などのヒット曲を作って活躍するトム
・ケリーが中心となって結成したバンドで、これはその2枚目。デビュー・アルバムは典型的なウェスト
・コースト・サウンドであったのに対して、こちらはどちらかというとアダルト・コンテンポラリーなサウン
ドとなっている。バック・メンバーには後にTOTOのメンバーとなるジェフ・ポーカロやデヴィッド・ペイチ
らやデヴィッド・フォスター、アンドリュー・ゴールド、ワディ・ワクテルといった超豪華メンバーらを揃え
る。トム・スコットのサックスが印象的なSweet Country Air’や‘Gypsy Brew’‘Runnin' And Hidin'
と言った快活なAORサウンド中心の曲が多いが、コーラス・ワークはウェスト・コースト・サウンドその
もので聴いていて気持ち良い。個人的には1枚目のサウンドに近い‘I Can Hear The Whistle Blow
のような曲が好きなのだが、以後のディスコ・ブームを先取りしたような‘Mr.Lucky’のような多種多
彩な曲があったりで、楽しめることには間違いないアルバムだ。2枚で終わってしまったことが実に
残念なバンドである。
Double Vision
(1978)

Foreigner
デビュー・アルバムがいきなり全米No.4位となり、早くも初来日を果たした後に発売されたこれは2枚
目のアルバム。ここからは‘Hot Blooded’(3位)、‘Double Vision’(2位)のヒット曲を生み、アルバ
ム自体も3位となる。ミック・ジョーンズ、イアン・マクドナルドらのイギリス勢にルー・グラムらのアメリ
カ勢が加わった英米混合バンドであることからバンド名がForeignerとなったことは有名だ。大半の曲
をルー・グラム/ミック・ジョーンズが書いているが、そのどれもがキャッチーなメロディを持ったもので
親しみやすい。それはアルバム毎にプロデューサーがロイ・トーマス・ベイカー、ロバート・ジョン・ラ
ンジと替わって行っても弱冠のサウンドの違いはあっても、曲作りに関してはそんなに変化はないと
思う。後に「Waiting For A Girl Like You」(2位)のヒットを飛ばすが、ここでも同じくバラード・タイプの
You're All A Am’‘I Have Waited So Long’で、ミック・ジョーンズはメロディ・メーカー振りを遺憾な
く発揮している。
Crimes Of Passion
(1980)

Pat Benatar
スウィートやスージー・クアトロ、ブロンディなどで有名なマイク・チャップマンのプロデュースによって
華々しくデビューしたパット・ベネターの2ndアルバム。1stアルバムはチャップマンの秘蔵っ子とも言
うべきスィートやニック・ギルダー等のカヴァー曲などもありポップなナンバーが多かったが、この2nd
アルバムではパット自身もコンポーザーとして4曲に名を連ねていてハードな一面を覗かせている。
彼女の最大のヒット曲‘Hit Me With Your Best Shot’(9位、邦題:「強気で愛して」)は文句無くこの
アルバムのベスト・ソングだ。後に夫となるニール・ジェラルドのギター・リフが最高にイカシテいる
ナンバー。‘Prisoner Of Love’も弾むようなメロディが印象的なポップ・ナンバーだし、ケイト・ブッシュ
の‘Wuthering Heights’をカヴァーしているのも特筆すべき点だろう。ケイトみたいに神秘っぽさは無
いが、これはこれで独特の世界が展開されているように感じる。オリジナルより多少、力強い感じが
します。特にギターがね。パットは翌年1981年のグラミー賞で最優秀女性ロック・ヴォーカリストに
輝いた。オルセンは次の「Precious Time」もプロデュース。
Success Hasn't
Spoiled Me Yet
(1982)

Rick Springfield
前年の「Jessies Girl」が全米No.1ヒットとなり、それを収録したアルバム「Working Class Dog」も7位
まで上昇して1982年の2月にはグラミー賞でベスト男性ロックヴォーカリストに選ばれ、いよいよリック
・スプリングフィールドの快進撃は始まった。このアルバムからの第1弾シングル‘Don't Talk To
Stranger’が2位となり、アルバムも同様2位まで上がるヒットとなった。キース・オルセンは前述のア
ルバム中「Jessies Girl」と、同じくシングル・カットされた「I've Done Everything For You」(8位)の2曲
のみのプロデュースだったが、ここでは全曲彼のプロデュースとなり、全編厚みのあるスピード感溢
れるロックン・ロール・ナンバーが目白押しといった感じである。‘Calling All Girls’‘Kristina’といった
キャッチーなメロディを持ったハード・ロック的なナンバーや、‘How Do You Talk To Gorls’‘Just
One Kiss’のようなコーラス抜群のポップ・ロック的なサウンドまで多種多様で飽きさせない内容とな
っていて、全12曲3分前後の曲が揃っているのも疲れなくって良い。尚、余談だがキース・オルセン
絡みかどうかは判らないが、先に紹介したFools Goldのトム・ケリーがバックVo.で参加している。
邦題は「アメリカン・ガール」。
Fame And Fortune
(1986)

Bad Company
1982年にアルバム「Rough Diamond」を発表後、ポール・ロジャースが脱退してバッド・カンパニーも
とうとう解散か?などと思っていたが、月日が流れて86年に再結成されていた。と言うのは、私は再
結成していた事を90年頃まで知らなかったからである。このアルバムでは新ヴォーカリストのブライ
アン・ハウが結構頑張っていて、全10曲中8曲にコンポーザーとして名を連ねている。サウンド面はと
言えば往年のバドカン節こそ無いけれど、まさに「新生」という言葉がピッタリと当てはまるような80年
代のロックだ。バンド名こそ‘Bad Company’となっているが、まったく新しいバンドと捉えたほうがこ
のバンドを聴くには入りやすいかも知れない。ブルースっぽさがなくなった反面、コーラスやキーボ
ードなどでメロディアスな部分が多様化されていて、これはこれで悪く無い。ブライアン・ハウのVo.
は所々、フォリナーのルー・グラムに似てなくもないし、このアルバムにはエグゼクティヴ・プロデュ
ーサーとしてミック・ジョーンズも名前が載っているので、やはりどことなくフォリナーっぽさがプンプ
ンしている。個人的にはミック・ラルフスのギターが全面に出ていないところが不満と言えば不満で
はあるのだが、それでも‘Burning Up’‘Tell It Like It Is’‘Velerie’‘If I'm Sleeping’などのナンバー
で聴かれる彼のギター・リフ、ソロには70年代から全然変わらぬロック・スピリットが感じられて嬉し
かった。残念ながら、このアルバムを最後にオリジナル・メンバーのボズ・バレルはバンドを去って
しまった。


尚、プロデューサー「キース・オルセン」についてはこちらのサイトに詳しく紹介されているので興味を持った人は是非とも見て下さい。
                                               ↓
http://homepage3.nifty.com/music99/Producer/KeithOlsen.html

2003/2/26Up