Pilot (パイロット)


パイロットはデヴィッド・パットン、ウィリアム・ライオール、ステュアート・トッシュというスコットランド出身の3人組で1973年に
結成された。パットンとライオールは有名になる前のBCR(ベイ・シティ・ローラーズ)のメンバーでもあったらしい。
74年のデビュー・アルバムからのシングル‘Magic’や続く2枚目のアルバムからの‘January’‘Call Me Round’といったナン
バーが当時、日本のラジオでも良くオン・エアされていたのを憶えている。よく音楽雑誌などではビートルズのフォロワー的
な扱いをされているが、それはたぶん、彼らの類稀なポップ・フィーリングとビートル・ライクなメロディ・ラインから帰来した
表現なのであろう。現在はメンバーそれぞれ、どのような活動をしているかは判らないが、当時の彼らにはそれなりの思い
入れもあったりする。
それでは、私の所有しているパイロット関連のCDを紹介しましょう。



From The Album Of
The Same Name

(1974)
ハンド・クラッピングがなんとも気持ち良いキャッチーなメロディを持った‘Just A Smile’‘Majic’を始め、
珠玉の12曲が揃ったアルバム。仕掛け人はプロデューサーでもあるアラン・パーソンズ。全体的には
やはりポール。マッカートニー的なメロディが光るナンバーが多いと思う。多少、リードVo.に細い点は
あるものの、それを上手くコーラスでカヴァーしているように感じる。ピアノとギターの旋律が絶妙なナン
バー‘Sooner Or Later’や‘Don't Speak Loudly’あたりは彼らオリジナルなメロディ・センスに溢れてい
るし、軽妙なリズムもまた心地良い曲だ。所々、ポール・マッカートニーが作るようなメロディを拝借した
ような‘Over The Moon’もまたそれはそれで微笑ましいし、どことなく初期10ccを思わせるコーラスが
特徴的な‘High Into The Sky’もまた楽しいナンバーである。他にも魅力的なメロディ溢れる曲が一杯
詰ったこのアルバムは、70年代中期のブリット・ポップを代表するアルバムの一枚と言える
Second Flight

(1975)
前作同様、プロデューサーはアラン・パーソンズ。前作ではサポート・メンバーであったギターのイアン
・ベアンソンが正式メンバーとなる。傾向としては前作を踏襲はしているものの全体的にはサウンド、コ
ーラスともに厚みを増したように感じる。パットン、ベアンソン競作の‘Call Me Round’はコーラス・ワー
クが冴え渡る聴いていてウキウキするようなナンバーで、ビートルズの‘ハード・デイズ・ナイト’の最後
のギター・リフを真似ているのも愛嬌。珍しいインスト・ナンバーの‘55°North 3°West’はキーボード
とギターのメロディがいつまでも耳に残る楽しいナンバー。スロー・テンポな‘To You Alone’もまた非常
に美しいメロディ・ラインを持った曲で、ここではちょっとギルバート・オサリバンあたりの曲が思い浮か
んでしまう。‘Bad To Me’もまたシングル・カットされた‘January’(全英1位)と似たようなパイロット独特
のメロディ・センス溢れるナンバーで、流れるようなコーラスが聴いていて気持ち良い。ウィングス時代
のポール・マッカートニーが作りそうな曲‘Passion Piece’はライオール作で、リードVo.も彼。こちらも
キラ星のごとく光る12曲が収録されている好アルバムである。尚、ライオールはこのアルバムを最後に
脱退してしまう。
Morin Heights

(1976)
ロイ・トーマス・ベイカーがプロデュース、全体的に前2作よりもサウンドがタイトに作られている感じがあ
る。ポップ・センスは相変わらずであるが、アルバム全体が流れるように作られている点が特徴的と言
える。ここら辺がクイーンをプロデュースしたベイカーの手腕が発揮されているところか。また、曲調も
重い曲と軽い曲が交互に配置されている所も、そうなのかも知れない。彼ら特有の軽いポップ・フィー
リング溢れる曲は少なくなってしまったが、‘Canada’‘Penny In My Pocket’‘Lies And Lies’などのナ
ンバーでは健在で、厚いVo.コーラスもベイカーらしい音に仕上がっている。ベアンソンのギターがフィ
ーチャーされている所も見逃せない。1曲、1曲を取ってみればこれと言ったヒット曲っぽい曲は見当た
らないが、全曲を通して聴くと、その全体の色が見えてくるようなアルバムだと思う。尚、ドラムスのS・
トッシュはこのアルバムを最後に10ccに参加する。
Two's A Crowd

(1977)
残った2人、パットン&ベアンソンによって作られた彼ら最後のアルバム。レーベルをアリスタに移籍して
発表されたがプロモーション不足からか、あまり話題にはならなかったらしい。が、初期の明るい軽妙
なトーンに戻ったそのサウンドは、これぞパイロット・サウンドと呼ぶに相応しい曲が目白押しのアルバ
ムだ。嬉しいハンド・クラッピング・サウンドが蘇ったアルバム冒頭の‘Get Up And Go’や‘Ten Feet
Tall’といったナンバーを聴くと思わずニヤリとせざるを得なかったりする。ベアンソンのギターがなんと
も心地良いアメリカン・フレーヴァー漂う‘There's A Place’や、極上のパイロット産ポップ・ワールドを展
開する‘Creeping Round At Midnight’など、どれもが甘酸っぱい香りのする曲で溢れ、多少センチメン
タルな気分になってしまうような曲が揃った名作。ピアノのサウンドを上手く生かした曲が多いのが特徴
と言える。プロデューサーは2枚目までと同様、アラン・パーソンズ。
邦題は「新たなる離陸」。未だに未CD化なのが寂しいところだ。
尚、この音源・画像はイケジマさんから頂きました、Thanks!
Solo Casting

(1976)
これは2枚目でパイロットを脱退したウィリアム・ライオールの唯一のソロ・アルバム。パットン、ベアンソ
ン、トッシュらのパイロットのメンバーの他、フィル・コリンズなども参加している。パイロット・サウンドを
彷彿させるポップで明るいトーンの‘US’‘Supertrader’‘Reasons’などが好きなナンバーであるが、
Solo Casting’や7分にも及ぶインスト・ナンバー‘Sleep’といった、ストリングスが効果的に使われる魅
惑的なナンバーの方が、より彼らしいナンバーなのかも知れない。
初期のパイロット・サウンドにも影に隠れがちであるが、彼のこうしたストリングス・アレンジの手腕は遺
憾無く発揮されていたように思う。
残念なことに、彼は1989年のクリスマスにエイズでこの世を去っている。


尚、PILOTについてはHINEさんのところで詳しいプロフィールを紹介されていて
より一層楽しめるかと思いますので、是非ともそちらも見に行って下さい。

2002/6/15UP