QUEEN (クイーン)


クイーンがデビュー・アルバムを発表した1973年には栄光のブリティッシュ・ロックは影を潜め、アメリカン・ロックが台
頭し始めた時期でもある。キッスしかりエアロスミスしかり、少し遅れてチープ・トリックしかりである。
当時の音楽雑誌(ミュージック・ライフ、音楽専科等)では新人3大バンド(4大バンド)としてグラビアなどで大々的に
クローズ・アップされていたが、クイーンはそんな下降気味のブリティッシュ・ロックの人気を孤軍奮闘、死守してたと
言っても過言ではあるまい。この3バンド(4バンド)に共通しているのは、デビュー当時からいきなり売れた訳では無
いということ。そして、それぞれのバンドには名プロデューサーがいたというのも共通するところだろう。しかし、クイー
ンが他のバンドと決定的に違ったところは、4人の中で誰か一人でも欠けたらバンドとして存続し得なかった点だ。フ
レディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラー、この4人が揃っていてこそクイーンなの
である。ビートルズやレッド・ツェッペリンと同じように、誰にも真似できないサウンド、メロディー、個性を併せ持った唯
一無比なバンド、それがクイーンだ。特に70年代のクイーンはリアル・タイムで聴いたのでその思い入れはどのバン
ドよりも深いかもしれない。特に2〜4枚目のアルバムは70年代のベスト10に入るような名盤だと思う。
ここではそんな彼らの初期のアルバム5枚までを紹介したい。



QUEEN

(1973)
ともかくブライアン・メイのギターの音色にビックリしたデビュー・アルバムだった。ギター・サウンド中心に
ロックを聴いていた私にとって間違いなくニュー・ヒーローの出現であったのだ。加えてフレディ・マーキュ
リーの伸びやかなヴォーカルも気に入った。音を聞いてこれは絶対に売れるバンドだと思った。デビュー・
アルバムにしては様々な個性ある曲が揃い、‘Keep Yourself Alive’‘Great King Rat’‘Liar’などのドラマ
チックなハード・ロックも素晴らしければ、‘Doing All Right’‘My Fairy King’‘The Night Comes Down’の
ようにその旋律の美しさが際立ったナンバーなどが好きなところだ。
イギリスでは24位、アメリカでは83位に食い込んだ。この頃は世間的評価としてはまだ単なる新人ハード
・ロック・バンドの粋を脱していなかった。
QUEEN U

(1974)
早くもコンセプト・アルバムとしての完成度を極めた一枚と言える。そのドラマチックな曲展開、コーラス・
ワークにも益々磨きがかかり、日本での人気を決定づけた。A面を主にブラアン・メイの曲を中心とした
ホワイト・サイド、B面をフレディ・マーキュリーの曲でまとめたブラック・サイドとした構成も素晴らしければ
一曲一曲のクオリティの高さ・オリジナリティに溢れるメロディももはや他に類を見ないバンドに成長した。
A面からB面まで、全曲流れるようなストーリー性を持った作品群が素晴らしく、プログレッシヴ・ロック的
な一面も垣間見せてくれる。‘The March Of The Black Queen’などもはやどのバンドにも真似出来ない
程の曲をこの2枚目のアルバムで作ってしまった事は驚愕に値する。
Seven Seas Of Rhye’(邦題:輝ける七つの海)が全英TOP10に入るスマッシュ・ヒットとなった。
SHEER HEART
ATTACK

(1974)
一枚目はツェッペリン的な、二枚目はイエス的な、そしてこの三枚目はビートルズ的な、と当時称された
アルバム。4人の個性が一気に噴出して、‘アビーロード’的なアルバムを作ってしまった感があった。
ここからは‘Killer Queen’が全英2位、全米12位となり、アルバムも全米12位のゴールド・ディスクを獲得
し、遂にアメリカでもその実力を認められた。これぞブライアン・メイのギターと、そのテクニックを堪能で
きる‘Brighton Rock’‘Now I'm Here’、ポップなエッセンスをぎっしりと詰め込んだフレディ・マーキュリー
の‘Killer Queen’‘Bring Back That Leroy Brown’、力強いロジャーの‘Tenement Funster’、一種の安
堵感をも感じるジョンの‘Misfire’など、他の小曲も含めて捨て曲一切無しの、まさに70年代のロック史
に残る金字塔的なアルバムだと思う。
A NIGHT AT
THE OPERA

(1975)
前作を踏襲しながらもセカンド・アルバム的要素も付け加え、ここでQueenの一つの様式美を完成させた
アルバムと言える。オーバー・ダビングが180回にも及んだという全英9週No.1の‘Bohemian Rhapsody
がアルバム中やはり一際存在感ある。発売当時はあまりピンとは来なかったのだがある日急に、これは
実に素晴らしいナンバーだと思った。左右に飛び交うコーラス部分が大好きで、ボリュームを上げると本
当に迫力ある。イギリスで52年から76年の15年間に発売された曲の中で最優秀シングルに選ばれたと
いうのも納得だ。レコードで言えばA面が三枚目寄り、B面が二枚目寄りの曲構成がされていると思うの
だが、いずれもスタジオ・ワークを駆使したコーラスが素晴らしく‘The Prophet's Song’にもそれは顕著
だ。どこか懐かしさが込み上げてくるような’ミュージカルな‘Lazing On A Sunday Afternoon’‘Seaside
Rendezvous’‘Good Company’と言ったナンバーもこのバンドの持ち味の一つで、アルバム中ここという
個所に上手く散りばめられている所がニクイ演出と言えようか。個人的にはブライアン・メイ作の‘39’な
ども素朴ながらもすこぶるご機嫌なナンバーで大好きなのだが、こういった曲を作る彼らにもうひとつの
Britishらしさを感じてしまったりする。
A DAY AT
THE RACES

(1976)
前作と次の「伝説のチャンピョン」を含む‘News Of The World’の影に隠れてしまう感のあるアルバムだ
が、私には印象深いアルバムなのだ。ここからは‘Somebody To Love’(全英2位、全米13位)のヒットも
生まれるが、‘Teo Torriatte’では歌詞の一部が日本語で歌われたことも話題になり日本独自にシング
ル・カットされた。‘The Millionaire Waltz’ではブライアン・メイがそのギター・サウンドの妙を存分に堪能
させてくれるし、‘Tie Your Mother Down’でも相変わらずの力強いハードなサウンドで迫ってくる。それ
までのロイ・トーマス・ベイカーの手を離れ、初めてのセルフ・プロデュースとなった為か、アルバムとして
の統一感には欠けるが、それでも一曲一曲を取り上げればやはりQUEEN節健在を知らしめた一枚だ。
ブライアン作のナンバーがここでも出来は秀逸で、‘Long Away’のようなトラディショナルっぽい作品に
はやはり惹かれるものがある。この曲はベース・ラインも特徴があって好きです。

SMILE

(1969)
これはクイーン結成前にブライアン・メイとロジャー・テイラーが在籍していたバンドで、この2人にベース&ヴォーカルの
ティム・スタッフェルという人がいた。音はまさにクイーン前夜といった感じで、特にブライアンのギターはクイーンのデ
ビュー・アルバムのサウンドに近いものがある。スタッフェルの歌い方なんかもなんとなくフレディ・マーキュリーを想わ
せるし、ちょっとしたミニ・クイーンといった感じだ。クイーンのデビュー・アルバムにも収められていた‘Doin' Allright
なんかも原型を留めているし、コーラス部分は全曲にクイーンっぽさがある。‘Blag’という曲では間奏のギター・ソロで
‘Now I'm Here’そっくりのフレーズが出てきて面白い。
更に私の所有しているこのCDには1976年にフレディ・マーキュリーとブライアン・メイが参加したエディ・ハウウェルの
シングル‘The Man From Manhattan’(プロデュースもフレディ)が収録されている。このエディ・ハウウェルという人に
関しては良く判らないのだが、コーラスや間奏のギター部分などは明らかにクイーン・サウンドを継承していて、こちら
もクイーン・ファンの御用達品と言える。