Vinegar Joe (ヴィネガー・ジョー)


「ヴィネガー・ジョー」と言う一風変わったネーミングのこのバンドは一般的にはあのロバート・パーマーが
在籍していたことで知られる。ロバート・パーマーと言えば、最初にその名前を聞いたのが1985年のヒット
・ナンバー「Addicted To Love」であった。あまりロックっぽく無い人だとその時は思った。それから程なく
して再度彼の名前を聞いたのがPower StationでのT・REXのカヴァー「Get It On」がヒットした時だった。
時は遡り、私が持っている「ロック貴重盤」と言う本で「Rock'n Roll Gypsies」のレビューを読んで以来、
何時かはこのヴィネガー・ジョーと言うバンドを聴いてみたいと思っていた。
ある日偶然、中古CD屋さんで彼らのデビュー・アルバムを見つけた時は嬉しくて小躍りしたものだった。
噂に違わぬスワンピーなロックンロールが聴いていて実に気持ちよく、まさかこのバンドにロバート・パー
マーがいたとは思わなくって、一気に過去と現在を結ぶ点と点が結ばれた瞬間であった。
そんなヴィネガー・ジョーが残した3枚のアルバムをここに紹介します。


Vinegar Joe

(1972)
実はヴィネガー・ジョーで素晴らしいと思ったのはロバート・パーマーでは無く、もう一人のシンガー、
エルキー・ブルックスの歌唱力でした。「Early Monday Morning」における豪快なシャウトや「Give A
Little ,Get Somewhere」でのエモーショナルな歌い方も素晴らしければ、「Never Met A Dog」で
はロバート・パーマーとの気合いの入ったデュエットでジャガー=リチャード(ストーンズ)風の一流
のR&Rナンバーに華を添えてくれている。このナンバーでもう一つ素晴らしい点を挙げたいのがピー
ト・ゲイジのツボを抑えたギター・プレイだ。「Leg Up」辺りでも聴けるファンキーでいながらあまり弾
き過ぎない、それでいてここぞと言う時に存在感をバッチリ現すギターにしばし耳を奪われてしまう
瞬間が多々ある。そのバックを支えるベースのスティーヴ・ヨークとドラムのロブ・テイトのリズム隊
のタイトな演奏も聞き逃すことが出来ない。ソウルフルでスワンピーなロックン・ロールを楽しみたい
方には是非とも聴いて貰いたいバンドだ。
Rock'n Roll Gypsies

(1972)
兎に角このジャケットはインパクトありすぎます(笑)。でも、このインパクトとは裏腹に、中身は前作
以上にリラックスしたスワンピーなご機嫌なサウンドに仕上がっている。ギタリストがもう一人加わり
ピート・ゲイジも負担が軽くなったせいか、良い意味力の抜けた感じで、聴いている方も肩肘張らず
に聴けます。このアルバムで特筆すべきは2曲のカヴァー・ナンバー、「Whole Lotta Shakin' Goin'
On」と「Angel」である。前者はエルキーのブラック・ミュージックに傾倒した歌いっぷりが楽しいし、
思わずティナ・ターナーが頭に浮かんでしまった。そして後者はジミ・ヘンドリクスの有名なカヴァー
で、ロッド・ステュアートのカヴァーでも超有名なだけに、少し分が悪いが、それでも補えるほどの
ソウルは充分に伝わってくる。前作以上にエルキーとロバート・パーマーの掛け合いVo.が聴けるの
も、これまたこのアルバムの楽しさを増している点だろう。
Six Star General

(1973)
前2作よりもソウルフルでファンキーなナンバーが薄れてしまった感じが強いアルバム。ではあるが
私がこのアルバムを好きなのは個人的なVinegar Joeのベスト・トラックとも言える2曲が収められて
いるところだ。「Proud To Be」と「Dream My Own Dreams」の2曲がそれで、前者はエルキーの渾身
のシャウトとピート・ゲイジの軽妙なスライド・ギターが際立つR&Rナンバー。逆に後者はパーマーと
エルキーの絶妙なコンビネーションから成るハモリVo.が素晴らしく、それに乗せたマイク・ディーコン
のブギウギ・ピアノのノリもまた楽しめるナンバーだ。その他「Giving Yourself Away」「Let Me Down
Easy」など、それまでのアルバムでは聴けなかったR&Rカラーを色濃く描いたナンバーが多くなった
点がこのアルバムの特色だろうか。スワンプな香りはすっかりと薄れてしまったが、広義な意味で
ブルースを根底に感じるサウンドが印象的だ。

Elkie Brooks

( 2005/04/05 UP)